Yutaka
Sun, 17 October 2021

第189回 英国王家の愛玩犬の始まり

シティの東の境界近くにハウンズディッチ(Houndsditch)という通りがあります。近くにローマ時代の防壁の外堀がありましたが16世紀に埋め立てられ、大通りになりました。直訳すると「犬の掘」を意味する通りの由来は、この近くでたくさんの犬が埋められたからとも言われています。ただ、気になるのはハウンドという単語。中世では犬の一般名詞はハウンドで、一部の犬種にドッグが使われました。16世紀ごろから一般名詞がドッグに代わり、ハウンドは猟犬を意味するようになります。

直訳すると「犬の掘」直訳すると「犬の掘」

ハウンドの語源は古代ゲルマン語のHundazで、ドイツ語の犬=Hund、猟を行うハンターやハンティングという単語もここから派生します。中世における犬とは猟犬を意味しており、いわゆるペットとしての家庭犬はまだ普及していません。犬は人類が狩猟・採集の時代から使役犬として奉仕してきました。中世の王侯貴族にとって狩猟は軍事訓練も兼ねた大切な行事なので、猟犬の役割も用途ごとに犬種が異なりました。

シティ・ウォールの外側にハウンズディッチが見える(1561年Agas Map)シティ・ウォールの外側にハウンズディッチが見える(1561年Agas Map)

中世のハウンドには、獲物を目で追跡する視覚ハウンドと鼻で追跡する嗅覚ハウンドの大型犬の2種類がいました。さらにスパニエル、プードル、ポインターなど猟銃を使った際に援護するガン・ドッグと呼ばれる中型犬がいたり、小さい獲物を狙うテリアやダックスフントなどの小型犬もいました。ところが15世紀後半から16世紀にかけて新しいタイプの小型犬が登場してきます。

中世の狩猟は猟犬と共に中世の狩猟は猟犬と共に

それがラップ・ドッグやトーイ・ドッグと呼ばれる小型の愛玩犬です。愛玩犬の発祥は中国宮廷のペキニーズとも言われますが、そこから派生した犬種が欧州に持ち込まれると王侯貴族に広まり、愛玩犬がステータス・シンボルになりました。それまで狩猟犬だったガン・ドッグも家庭用の愛玩犬として再訓練され、犬の飼育が愛玩目的に広がることで犬の一般名詞もハウンドからドッグに取って代わられました。ちなみに、当時小さくてかわいいことを意味したpettyから、ペット=愛玩動物という単語が生まれました。

中国宮廷で愛されたペキニーズ中国宮廷で愛されたペキニーズ

1526年、宮廷での儀礼を定めたエルサム令が発布されます。その法令で猟犬の宮廷持ち込みが禁止され、愛玩犬だけ同伴が許されました。ヘンリー8世は愛玩犬のスパニエルやビーグルを宮廷で飼っていました。歴代の英国王家は愛犬家として有名ですが、王家の愛玩犬の始まりはヘンリー8世からと言えるでしょう。

ホワイトホール宮殿の壁画コピー(妻の愛犬が描かれている)ホワイトホール宮殿の壁画コピー(妻の愛犬が描かれている)

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シティ公認ガイド 寅七
『シティを歩けば世界がみえる』を訴え、平日・銀行マン、週末・ガイドをしているうち、シティ・ドラゴンの模様がお腹に出来てしまった寅年7月生まれのトラ猫


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