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Mon, 23 September 2019

第144回 英国のバナナとジャパニーズ・バナナ

先日、ロンドン南部にあるクリスタル・パレス公園で友人と待ち合わせをしました。その名の由来であるクリスタル・パレスとは「水晶宮」を意味し、1851年に行われた第1回万国博覧会でハイド・パークに造られた鉄骨とガラスでできた巨大な温室のような宮殿を指します。万博後に当地に移されましたが1936年に焼失し、今は公園になっています。そこに遅刻した友人がバナナを食べながら来ました。英国人はバナナ好きが多いようです。

ロンドン万博の水晶宮
ロンドン万博の水晶宮

一人当たりの英国人のバナナの消費量は日本人の2倍だそうで、道端のゴミ箱にバナナの皮がある確率は7割以上という俗説を聞いたこともあります。そんな話をしたら友人が、今食べているバナナの発祥地を知ってますか? と尋ねてきました。このバナナ(キャベンディッシュ品種)は水晶宮を設計した造園家のジョセフ・パクストンが、ウィリアム・キャベンディッシュ(第6代デボンシャー公爵)の温室で育てたものが世界に広まったのだと。

キャベンディッシュ品種のバナナ
キャベンディッシュ品種のバナナ

造園家のジョセフ・パクストン
造園家のジョセフ・パクストン

世界で最も販売されているバナナ品種の発祥地が英国? 帰宅して早速バナナの歴史を調べました。バナナは5000年~1万年程前に東南アジアで栽培化され、農業技術と共に東西の熱帯地域に伝播。紀元前2000年ごろにマレー半島からインド経由で東アフリカに上陸し、15世紀ごろには西アフリカやカナリア諸島に到達します。大航海時代に欧州人がそこで入手したバナナを新大陸に持ち込み、中南米にもバナナが根付きました。

英国で初めてバナナが販売されたのは、1633年4月10日、シティのスノーヒルの薬草店でした。店主のトマス・ジョンソンは薬剤師組合のメンバーで野外植物学の父と呼ばれています。やがて19世紀には産業革命で裕福になったウィリアム・キャベンディッシュのような貴族たちが、自分の敷地に温室を作るようになり、1834年にはジョセフ・パクストンの栽培によってキャベンディッシュ品種が生まれます。やがてこのバナナは世界に流通し、今では最もポピュラーな品種となりました。

トマス・ジョンソンの薬草図鑑
トマス・ジョンソンの薬草図鑑

英国とバナナには長くて深い歴史があったのです。ちなみにジャパニーズ・バナナという植物があり、バナナそっくりの多年草で日本では芭蕉と呼ばれます。江戸時代、深川の草庵の庭に見事な芭蕉が育ったので弟子たちがそれを芭蕉庵と呼び、師匠は自分の俳号を松尾芭蕉に変えました。また、夏目漱石が過ごした漱石山房にも大きな芭蕉が育っていました。英国のバナナもジャパニーズ・バナナも昔から人気があったのですね。

ジャパニーズ・バナナの和名は芭蕉
ジャパニーズ・バナナの和名は芭蕉

 
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シティ公認ガイド 寅七

シティ公認ガイド 寅七
『シティを歩けば世界がみえる』を訴え、平日・銀行マン、週末・ガイドをしているうち、シティ・ドラゴンの模様がお腹に出来てしまった寅年7月生まれのトラ猫


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