例えば先日行なわれた、ウーマッド・フェスティバルでヘッドライナーとして出演が決定していた、ジンバブエのトーマス・マップフーモ氏。 現在米国に滞在中の同氏は、英国の労働許可証保持者であるにもかかわらず、入国を拒否された。その背景には、氏が米国に入国した際、ミュージシャンに発行されるビザを取得した後に心変わりをし、政治的亡命者に対する保護を要請したいきさつがある。これが原因で、英国大使館の入港許可証担当者は、マップフーモ氏の真の渡英目的が不明だと判断したのだ。
またエディンバラ・フリンジに出演予定だった英豪2人組のフォーク・グループ「ウィムジカル・トライシクル」。そのメンバーであるバイオリニストのミッシェル・ウィルソンさんは昨年末、病気の母親を見舞いに一時オーストラリアへ帰郷。フェスティバル出演のために再び来英し、入国を試みたところ、不法労働の過去があるという理由で拒否された。確かに、ウィルソンさんは04年10月から05年6月まで看護婦として英国の病院で働いていた。当時、病院側が労働許可証を申請しているとの話だったが、今回ホーム・オフィスの捜査により、申請そのものが行なわれていなかったことが判明。現在、彼女の相方であるキーラン・バトラー氏は今月行なう予定のライブに間に合うよう、急遽ピンチ・ヒッターを迎えた。
入国許可が降りなかったアーティスト達は、イベント出演をドタキャンせざるを得ない。業界関係者はこうした動きにより、今後のフェスティバル主催者がビザ関連のトラブルを抱えるアーティストへの出演依頼を避けるという「文化的検閲」につながるのでは、と懸念している。
8月1日付「The Independent」紙"Immigration rules deprive festivals of foreign stars"
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