中国人観光客は、シャンゼリゼの
救世主となるか
シャンゼリゼ通りといえば誰もが思い浮かべるあのメロディー。「オ~、シャンゼリゼ~」の一節はついつい口ずさみたくなるご機嫌な歌だが、現実はなかなか厳しい事情に迫られている。昨今はあまりにも激しく家賃が高騰したため、ブティックが軒並み移転を迫られているのだ。
そこで注目されているのが、中国人観光客。昨年は中国から約60万人の観光客がフランスを訪れたというが、1日に費やした金額は1人当たり247ユーロ(約4万2000円)。しかも、その額の82パーセントを占めるのが、シャンゼリゼとオペラ界隈にある百貨店での出費だという。ホテル代や食費は削ってでもショッピングにお金を費やす中国人観光客は、ブティックにしてみたらありがたい存在となっているわけだ。
ところが今年の春以降、フランスでは様々な人権保護団体がチベット問題などに対して中国バッシングを決行。日に日にエスカレートするバッシングについに堪忍袋の緒が切れた中国では以降、フランス製品やフランスへの観光旅行がボイコットされるように……。そこで、なんとか中国人観光客を取り戻したいと考えついた苦肉の策が、前述のシャンゼリゼ豪華ツアーだ。
朝9時半に大型化粧品販売店「セフォラ」へ直行した一団は、まずマニキュアやヘア・ケアのサービスを受け、プレゼント入りの大きな袋を手に、高級宝飾店カルティエへ。昼食を挟み、午後はルイ・ヴィトンで高級バッグについての商品説明を受け、18時にはヨーロッパ最大の高級キャバレー、リドでのディナー・ショー。まさに至れり尽せりである。
一昔前までは日本人観光客が「神様、仏様、日本人様」ともてはやされていたが、果たして今度は中国人観光客が、シャンゼリゼ通りを救う新たな救世主となるのであろうか。
「Parisien」紙 "Les champs-Elysées à la reconquête des Chinois"
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