Lifeforce
スペースバンパイア(1985 / 英)
ハレー彗星を探査中のスペースシャトル・チャーチル号が、謎の宇宙船を発見。船内にカプセルの中で眠る全裸の男女3名を確認し、これを回収するが……。
監督 | Tobe Hooper |
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出演 | Steve Railsback, Mathilda May, Peter Firth |
ロケ地 | 地下鉄Chancery Lane駅 |
アクセス | London・Paddington駅から列車で約1時間 |
- 今週は80年代の英国SFホラーです。
- 興行的にいま一つだったために巷ではB級とか言われたりしてるが、SFホラー好きなら観ずにはいられない名作だと思うぞ。 単なるホラーというよりも、スピリチュアル的、オカルト的なのだ。
- 英国生まれの小説家で評論家のコリン・ウィルソンの原作「宇宙バンパイア」を、「ポルターガイスト」で知られる米国の トビー・フーパー監督が映画化した作品ですね。コリン・ウィルソンはオカルト研究や心理学、哲学にも精通していますから、そのあたりが反映されているんでしょうね。
- 数々の映画音楽を手掛けている大作曲家、ヘンリー・マンシーニの音楽が、これまた「ミステリー・ゾーン」的な、オカルト ちっくな雰囲気を助長しているんだな。
- ストーリーをざっと説明しますと、ハレー彗星を探査中のスペースシャトル、チャーチル号の船長カールソンとその一行は、謎の宇宙船に遭遇します。しかもその船内にて、カプセルの中で全裸で眠る絶世の美女1人と美男2人を発見、回収しますが、その後、チャーチル号から地球への通信が途絶えてしまいます。ちなみにこの、怪しい宇宙船のデザインは、野菜のアーティチョークをモデルにしているんだそうですよ。
- さて、実のところチャーチル号は原因不明の火災で爆発を起こしていたのですが、救援に向かったコロンビア号は、焼けただれた船内から無傷のカプセル3体を発見、これを地球に持ち帰ります。
- カプセルはロンドンの宇宙センターに運ばれますが、そのうち女が目覚め、警備員の精気を吸い取って逃亡。警備員はミイラのような姿になって息絶えるのですが、2時間後に目を覚まし、別の人間の精気を吸い取って復活します。つまりカプセルの男女は生命エネルギーを糧とする宇宙人バンパイアで、彼らの犠牲となった者は、2時間後に復活して同じくバンパイア、というかゾンビになってしまうのです。
- しかも宇宙バンパイアは姿を自在に変えられ、人の脳に入り込むことができるのだ。それにしても女バンパイア役のマチルダ・メイの裸体が見事で……。かつて日曜洋画劇場で放送されたとき、解説の淀川長治さんが興奮気味に彼女の裸体について触れていたっけ……。
- バンパイアと接触した者が皆ゾンビになってしまう中、チャーチル号の唯一の生存者であるカールソン船長だけは無傷です。なぜなら彼こそがマチルダ・バンパイア=メイに選ばれた男だったからです!
- 彼女はカールソン船長の夢の中に現れ、また船長は彼女が今、どんな姿で誰と接触しているか、不思議と分かってしまうんだな。カールソンは以降、すっかりサイキックみたいになっちゃうんだ。
- そして彼女が乗り移った精神病院の看護婦のところにカールソン船長と捜査班がヘリで向かいますが、この病院のシーンは ハートフォードシャー州にある邸宅「RoyalConnaught Park」で撮影されていますね。70年代まで私立の男子校だった建物です。その後、カールソンらがロンドンに戻ると、そこはまさにゾンビが暴れ回る戦場で……。Chancery Lane駅が出てきますが、駅周辺もすごいことになってましたね。もはや誰が敵か味方か分からない!
- そこからエンディングまでの展開が、これまた見応えたっぷりなんだよなあ。
- 首相官邸のショボさには笑いましたが。しかも首相もゾンビになってるし(笑)。
世の中には人の心を狂わせる魔性というものがあるが、カールソン船長も「今まで感じたことのないような激しい恋心」をこの美女バンパイアに抱き、その気持ちに抗えなかったことから、この地球規模の大惨事が起こってしまうのだ。身の回りに妖艶な女性に恋して精気を吸い取られている人がいたら要注意! その女はもしかしたら宇宙バンパイアかも知れんよ……。
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