Withnail & I
ウィズネイルと僕(1987 / 英)
カムデン・タウンで共同生活を送る売れない役者、ウィズネイルと「僕」。酒とドラッグに浸る貧乏暮らしに嫌気が差し、ウィズネイルの叔父が所有する田舎の別荘で気分転換を図ろうとするが……。
監督 | Bruce Robinson |
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出演 | Richard E. Grant, Paul McGann, Richard Griffithsほか |
ロケ地 | Regent's Park (Gloucester Gate) |
アクセス | 地下鉄Camden Town / Regent's Park駅から徒歩 |
- 男として生まれたからには、やっぱりみんな何者かになりたいと思うもんなんでしょうか。僕なんか、日々楽しく暮らせればそれでいいや、とか思いますが。
- 気力があるうちは、でっかい志を持って何者かになろうと頑張るのもいいんじゃない? 人生どこで花開くか分からんしな。
- 気力があっても芽が出ない場合はどうしたらいいんですかね。「ウィズネイルと僕」の2人みたいに。
- そうだなあ、人事を尽くして天命を待つしかないよな。それでダメなら、そのダメっぷりを小説にでもするとか。ま、小説のネタになるぐらいのダメさが必要だが。
- 本作は、脚本・監督を務めているブルース・ロビンソンの自伝的な作品なんですよね。元は小説として発表されたものを映画化しているそうで。
- 1969年、ヒッピー文化がまもなく終焉を迎えようとしていた頃。ロンドンのカムデン・タウンにある薄汚れたフラットに暮らす売れない役者の「僕」は、同じく仕事にあぶれている役者で、エキセントリックな性格の同居人ウィズネイルと、酒 & ドラッグに浸る毎日にいい加減、嫌気が差しているんですが、現状打破できずにいます。
- しかもウィズネイルのヘンな友達、というかドラッグ・ディーラーのダニーが、突如として家に現れるのも「僕」にはあまり楽しくない。でもこのダニー、めちゃくちゃ可笑しい! 個人的には一番好きなキャラかもしれん。彼の相棒、エドとともに。
- いや、愛すべきはやはりゲイのモンティ叔父さんじゃないですか?「僕」が襲われそうになるシーンには大笑いしました。
- 登場人物は全員、監督が実生活で出会った人々をモデルにしているそうですね。ロビンソン監督はもともと役者で、フランコ・ゼフィレッリ監督の「ロミオとジュリエット」で映画デビューしているんですが、ゲイであることを公言しているゼフィレッリ監督に実際、襲われかけたんだとか。そのときに言われた「君はスポンジかね? それとも石かね?」という言葉をそのままモンティ叔父さんに言わせているという(笑)。
- そういえばウィズネイルを演じたリチャード・E・グラントは下戸なんだってね。アル中気味の役を演じるのに一度も酒に酔ったことがないなんてありえん、ということで、監督は彼に、撮影前に必ず一度は大酒を飲んで酔うように命じたそうだ。
- あの形相で下戸っていうのがまた可笑しいですけどね。ある意味すごい演技力です。ちなみにロケ地なんですが、カムデン・タウンという設定なのに、意外にウエスト・ロンドン界隈で多く撮影されています。
- まず彼らのフラットはベイズウォーター、Chepstow Placeの57番地です。モンティ叔父さんの家はチェルシーのGlebe Place 35番地にある建物ですね。冒頭で 「僕」が新聞を読んでいるカフェはノッティング・ヒル、Lancaster Roadの136A番地ですが、現在は別の店舗が入っています。また、ウィズネイルが「ハムレット」の台詞で訴えかけるラスト・シーンは「Regent's Park」のロンドン動物園側です。今はもう狼は見られないかと思われますが。
- 田舎のシーンは湖水地方だっけ?
- その通り。設定ではPenrithとなっていますが、実際にはEden区のShap及びBampton周辺で撮影が行われています。モンティ叔父さんの別荘はShap近隣のファーム・ハウス「Sleddale Hall」ですね。
日本ではミニシアターで公開されたものの、ビデオやDVDは未発売ゆえに知名度に欠けるが、欧米ではカルト的人気を誇る名作だ。 物語は至ってシンプルだが、若者の葛藤を60年代終わりの空気と絡め、ブラック・ジョークとともに絶妙に描き出しており、非常に英国的で味わい深いことこの上なし。台詞が聞き取れないと面白さが半減するので、自信がない人はぜひ字幕付きで堪能されたし!
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