Kinky Boots
キンキーブーツ(2005 / 英・米)
父の急死により、家業である紳士靴メーカーを急遽継ぐことになったチャーリー。しかし同社の財政はひっ迫、まさに火の車だった。チャーリーは再建を目指して隙間市場を開拓しようとする。
監督 | Julian Jarrold |
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出演 | Chiwetel Ejiofor, Joel Edgerton, Sarah-Jane Pottsほか |
ロケ地 | Northampton Market Square |
アクセス | LondonのEuston駅からNorthampton駅まで列車で 約1時間 |
- お洒落は足元から、とはよく言ったものですが、英国は、チャーチ、ジョン・ロブ、クロケット & ジョーンズなどなど、世界的に知られる伝統的な紳士靴ブランドをいくつも生み出していますよね。
- なかでも英国中部のノーサンプトンは高級紳士靴の生産地として知られ、工場が集中してるんだよね。全盛期は40〜50の工場があったらしいよ。今じゃかなり減ってしまったようだが。
- そして今週の作品は、そんなノーサンプトンで実際にあった「紳士靴メーカー再生物語」を基にして制作された、コメディー・タッチのハートフル・ドラマです。由緒正しきブランドが財政危機を乗り越えるために、今までとは全く異なる嗜好の商品を手掛けることを決意するんですね。いわば隙間産業を狙おうとするわけです。
- 本作に登場する「プライス社」は、ノーサンプトンに実在する「W.J.ブルックス社」をモデルにしています。工場内のシーンの撮影には、トリッカーズ社のノーサンプトン工場が使われました。
- 財政難に陥っていた家業「プライス社」を急遽継ぐことになったチャーリーは、ロンドンのドラッグ・クイーン、ローラに出会ったことがきっかけで、ドラッグ・クイーン用の、つまり紳士用のセクシー・ブーツを作ることを思い付くんだな。
- ちなみに当時、実際に「W.J.ブルックス社」が手掛けたのは、メンズ & レディースのキワドいフェティッシュ系シューズでした。
- 実はこの「W.J.ブルックス」の逸話は、BBC2で放映されていたドキュメンタリー・シリーズ「Trouble at the Top」で最初に紹介されたんです。それを観た監督のジュリアン・ジャロルドが、映画化を決意して本作ができたというわけですね。
- 街中でのシーンは、ほとんどノーサンプトン市街で撮られていますね。「Northampton Market Square」や「All Saints' Church(ノーサンプトン諸聖徒教会)」がランドマークでしょうか。それから、ローラがいがみ合っていた職人のドンと腕相撲対決するパブですが、あれはGrove Road 65番地にある「The Swan and Helmet」です。事実、工場の目と鼻の先にあり、界隈では一番大きいパブのようですね。
- そういえば、チャーリーが彼女と広場で言い争いをするシーンがありますよね。目の前のカフェのテラスでローラがお茶していて「ノーサンプトンのソーホーを見つけたわ!」と話し掛けてくるシーンです。あそこは実はロンドンのホクストンの一角で撮られているそうですよ。ローラの台詞をよく聞くと、ホクストンが云々とジョークを言っていることに気付きます。
- ロンドンでも撮影されてたんだね。
- ローラがドラッグ・クイーンとして働いているベニューのシーンは、当時ソーホーのWalker's Court 11番地にあった老舗ストリップ劇場「Raymond Revuebar」が使われました。今は完全に別の店舗になってしまっていますが。また、ブーツの製作を思い付いたチャーリーが、部下のローレンと一緒に再びロンドンへ出向き、カフェでローラを口説くシーンがありますが、これは数年前に惜しまれながら閉店した、50sの香りを漂わせていたピカデリー・サーカス裏通りの「New Piccadilly」で撮られていますね。
- あのカフェ好きだったなあ。閉店しちゃって本当に残念だったけど、映画の中で再び会えるとは、ちょっとうれしいね。
偏見を捨て、発想を転換し、新しい一歩を踏み出そうっていう、この不安定なご時世に勇気をもらえるコメディー・ドラマ。事実に基づいているだけになかなか説得力もあるよ。ちなみにドラッグ・クイーンのローラを演じたキウェテル・イジョホーは、シェイクスピア劇を始め舞台でも活躍し、数々な賞に輝いている実力派俳優だよ。実生活では女装趣味はないと思うんだが、さすがお見事、芸達者だね。歌もうまくてビックリしたぞ。
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