The King's Speech
英国王のスピーチ (2010 / 英・豪・米)
内気な性格で、幼少時から吃音に悩まされていたという英国王ジョージ6世(現女王エリザベス2世の父)の実話に基づくドラマ。
© 33 Portland Place
監督 | Tom Hooper |
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出演 | Colin Firth, Geoffrey Rush, Helena Bonham Carterほか |
ロケ地 | 33 Portland Place |
アクセス | 地下鉄Regent's Park / Oxford Circus駅から徒歩 |
- 世紀のロイヤル・ウエディングが間近に迫ってきて、記念切手を始め各種グッズが次々とお目見えしてますね。最近ではレディー・ガガがイブニング・パーティーでパフォーマンスをするとかしないとか囁かれたりして、話題騒然です。
- ハッピーな話題は気分も明るくなっていいね。華やかなカップルだけに、新風を吹き込んでくれそうだしな。気になるのはウィリアム王子の頭髪の行く末だけだ。
- 振り返ってみると、これまで王室はスキャンダルの嵐でしたよね。僕はむしろそこに人間味を感じて、勝手に親近感を抱いてしまうクチですが。今週の映画「英国王のスピーチ」の主人公ジョージ6世も、王である前に一人の人間であるということを感じさせるお人で、観ていて感情移入するところが多々ありました。
- 今年のアカデミー賞で、ご当地の米国映画を抑えて、最優秀作品賞/監督賞/脚本賞/そして主演男優賞と、見事4冠に輝いた話題作ですから、もはや説明不要ですね。現在、日本でも公開中です。
- ところでこのジョージ6世、通称バーティは、現女王のエリザベス2世のお父さんに当たる人なんだよね。
- はい。父であるジョージ5世に厳しくしつけられ、また対照的な性格の兄デービッド、後のエドワード8世ですが、彼へのコンプレックスなどから精神的ストレスを抱えて育ち、幼少期より吃音に悩まされ、成人しても治らずにいたんですね。
- 冒頭、ウェンブリー・スタジアムでスピーチするシーンがその様子を克明に伝えています。あの場面は、実はウエスト・ヨークシャーにあるリーズ・ユナイテッドAFCのスタジアム「Elland Road」で撮影されてるんですが。
- そんな言語障害を抱える夫バーティのために、妻エリザベスが探し当てたのが、オーストラリア出身の言語聴覚士ライオネル・ローグだったというわけだね。
- ライオネルとバーティがセッションを通して、ときに険悪になりながらも友情を育んでいく様子は、やはり染みますね。ちなみに彼が営む医院の外観には、数々の開業医が連なるクリニック通り、Harley Streetの建物が使われています。内観には、メリルボーンにある18世紀の豪奢な館「33 Portland Place」の一室が使われました。この館は、王位に就く前のジョージ6世、つまりアルバート公爵一家が住んでいた家のシーンにも使われています。実際の家はハイドパーク・コーナー近くのPiccadilly 145番地だったそうですが、残念ながら第二次大戦中に破壊されてしまったそうです。
- それにしてもバーティは、吃音を抱えるほど引っ込み思案な人なのに、兄のエドワード8世がいわゆる「王冠を賭けた恋」に走って退位してしまったため、国王になる羽目になった。この事態を心底恐れていた彼は、泣いて嫌がったそうじゃないか。
- 一般人なら退職すれば済みますが、国王じゃそうはいかないですもんね。
- 気丈で優しい妻エリザベスに支えられ、 いよいよ国王となったバーティ、もといジョージ6世が、歴代国王の肖像画に囲まれたホールで即位のスピーチを行うシーンは、Liverpool Street駅近くの商館「Draper's Hall」で撮影されていますよ。
自身のトラウマチックな幼児体験の反動からか、ジョージ6世は家族をとても大切にする人だったらしい。妻エリザベスの存在も大きかったんだろうな。夫妻は第二次大戦中、ドイツ軍による空襲時も疎開せずにロンドンに留まって国民を励ました。そしてジョージ6世は後に「善良王」の異名をとるまでになったのだ。大変な時期に自分の意志に反していやいや王位に就いた結果、国民から非常に愛される国王になったっていうのが何とも皮肉だね。いや、やっぱりなるべくしてなったと言うべきかな。
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