Around The World In 80 Days (1956 / 米)
80日間世界一周
英国紳士が集う社会改革クラブのメンバーの前で「80日間で世界を一周できる」と豪語した資産家フィリアス・フォッグは、全財産を賭けてその発言を立証することに。雇ったばかりの執事を連れて、さっそく旅に出るが……。
監督 | Michael Anderson |
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出演 | David Niven, Cantinflas, Shirley MacLaineほか |
ロケ地 | Pall Mall 116-123番地 |
アクセス | 地下鉄Piccadilly Circus駅から徒歩 |
- 「宝くじに当たったら何にお金を使うか」という話になると、よく「世界一周」という人がいますが、デカ長はどうですか。
- そりゃーもちろん、世界一周旅行には憧れるさ。「一生のうちにやってみたいことリスト」に入ってるけど、時間とお金がなくちゃできないからねえ。やっぱ宝くじにでも当たらないと、なかなかなぁ。
- または旅芸人にでもならないと、ですね。旅を人生にするという。
- 懐かしの名作「80日間世界一周」のフォッグ氏とパスパルトゥは、まさにそんな2人じゃないですか。大富豪と、大道芸や闘牛もこなす運動神経抜群の執事。
- いやぁ、この映画ほんとに好きだよ私は。フォッグは全財産の半分を旅費に当て、残りの半分を掛け金にして世界一周に臨むのだ。人生を賭けた旅行だぞ。なんてスリリングなんだ!
- デカ長のように、この作品に影響を受けた人々は数知れず。モンティ・パイソンのマイケル・ペイリンなどもその一人で、かつてBBCで同タイトルの旅行番組を持ち、フォッグ氏とできる限り同じルートを辿った旅をしています。
- 結局、唐突に「世界一周」って言ってもどこをどう周ったらいいのか分からないが、凡例となるルートがあれば、夢も現実化しやすいというわけだね。
- そもそもこの作品は、冒険小説の祖でありSFの父とも言われるジュール・ベルヌの同名小説が原作なんですよね。
- ベルヌの小説も子供の頃、よく読んだよ。「地底旅行」とか好きだったなあ。
- ベルヌはフランスの小説家ですが、本作の主人公は英国人ですね。まあ、時間に正確で極度に神経質、それでいて意外に懐が深く、大胆な賭けにも出てしまうというフォッグ氏は、英国紳士たるべき英国紳士……ですかね?
- はは、そうかもね。素性が知れない大金持ちっていうのがまたいいよね。
- フォッグ氏の自宅は、ハイド・パーク・コーナー駅とナイツブリッジ駅の間に位置するBelgrave Square 17番地、現在「Royal College of Psychiatrists(英国王立精神医学会)」が入っている建物であります。そして彼とその仲間が集う紳士クラブ「社会改革クラブ」は、ピカデリー・サーカス駅とチャリング・クロス駅の間、Pall Mall 116-123番地の建物が使われています。19世紀の宮廷建築家ジョン・ナッシュがデザインしたビルですが、現在はビジネス・リーダーたちが集う会員制クラブ「Institute of Directors Club」が入っています。
- ビクトリア朝時代のロンドンの街並みが眺められる冒頭のシーンもなにげに好きなんだよね。パスパルトゥが、前輪が巨大で後輪が小さいペニー・ファージング自転車に乗って、ゆるーり街中を移動していくんだ。後続の馬車の御者に「へんな機械をどけろ!」なんて怒鳴られつつも、どこ吹く風で、馬と戯れながら悠々と自転車を走らせるんだよね。
- そして向かった先はジョブ・センター(笑)。フォッグ邸にも近いLower Grosvenor Placeの5番地です。黒塗りのラウンド型の建物は、今もそのまま残っていますよ。
- それにしてもフォッグ氏は、偶然ながらもいい執事に当たりましたよね。旅のお供には最高の人材じゃないですか。
- そうなんだよねぇ。この絶妙なコンビが、旅をまた面白くさせるんだ。
旅行気分をたっぷり味わえる、世界万博みたいな映画。なんといっても出発が気球だからねえ。それだけでもうグッとくるよね。途中、日本にも立ち寄って、富士山を眺めたり、鎌倉の大仏を訪ねたりするよ。それからこの映画は、マレーネ・ディートリッヒ、フランク・シナトラを始め大物俳優が随所にさりげなく登場していることでも知られていて、本作以降「カメオ出演」という言葉が一般的になったらしいよ。
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