The Libertine (2004 / 英・豪)
リバティーン
17世紀、王政復古後の英国に実在した天才詩人、ロチェスター伯爵の波瀾の半生を描いたドラマ。
監督 | Laurence Dunmore |
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出演 | Johnny Depp, Samantha Morton, John Malkovichほか |
ロケ地 | Blenheim Palace |
アクセス | Londonから車で約1時間30分 |
- ぶしつけなまでに正直で皮肉屋、それでいて繊細でロマンチック。天賦の才に恵まれながらも、いや、それゆえに権力に屈することなく我が道を貫いた男——。今週の作品「リバティーン」の主人公、第2代ロチェスター伯爵ことジョン・ウィルモットとは、そんな人物であーる。
- カァッコいいーっすね〜。男なら誰もがちょっと憧れてしまう生き方ですよね。
- と言ってもこの人、なかなか一筋縄ではいかない、クセのあるタイプなんだけどな。万人には理解されないが、特定の人間から深く愛されるタイプというのかな。
- 彼の場合、時の国王チャールズ2世にその才能を高く買われていたんですよね。そして重要な場面で詩や戯曲を直々に依頼されながらも、そのたびに人を食ったような卑猥な作品を披露しては、王の怒りを買って追放されてしまうんですが、またすぐに恩赦を受けてロンドンに戻ってくるんです。つまりなんだかんだ言っても、国王は彼のことが好きで仕方なかったんでしょう。
- うん、私なんかは、そんな奴のことが心底好きだった国王チャールズ2世にさえ好感を持っちゃうよ。
- そうそう、本作はもともとその国王チャールズ2世に扮したジョン・マルコヴィッチ主演の舞台を映画化したものです。監督は本作で映画監督デビューを果たしたローレンス・ダンモア。そして舞台で脚本を担当したスティーブン・ジェフリーズが本作でも脚本を手掛けています。
- 台詞が全体的に演劇口調なのはそのせいもあるのかな。まあ、17世紀という時代設定ももちろん関係あるだろうけど。
- 王政復古後、自由主義の風潮とともに芸術や文化が発展した時期ですが、本作で見られる英国の風景は、何かいつも泥にまみれていて、モヤがかかっているかのように薄暗い印象ですね。まるでウィルモットの行く末を暗示しているかのように……。
- そういったイメージを実現するためか自然の多い地方のロケ地が比較的多く使われているようですね。例えばウィルモットが仲間たちとともにロンドンの街を徘徊するシーンは、実はグロースターシャー州にあるマナー・ハウス、「Stanway House」の敷地で撮影されています。また愛人リジーの初舞台後、田舎の邸宅に帰ったウィルモットが、再びロンドンまで馬を駆り、リジーの家の前で大声で告白するシーンがありますが、こちらはワーウィックシャー州にありますナショナル・トラスト所有のチューダー・ハウス「Charlecote Park」で撮られていますね。この「Charlecote Park」に併設されているブリュワリーも、病身で逃亡中のウィルモットが入浴するシーンに使われています。
- その他、国王らが「ペルメル球技」なる遊びをたしなむシーンは、第二次大戦時に英国を率いたチャーチル元首相の生家としても知られる、オックスフォードシャー州の「Blenheim Palace」で撮られています。
- それにしても後半、酒毒と梅毒で見るも無惨な姿になってからのウィルモットは鬼気迫るものがあるね。ジョニー・デップの迫真の演技に引き付けられたよ。
- ジョニー・デップは脚本の最初の3行を読んで、出演を即決したらしいですからね。冒頭とエンディングの「私を好きにならないでほしい」「私のことが好きになったか?」という台詞が胸に響きます……。
17世紀の英国でアウトローな生き方を貫いたジョン・ウィルモット。自身の信念と美意識に従って行動し、自分が不快感を与えた相手のことなど意に介さなかった。鼻持ちならない奴とも言えるが、一度彼に関わってしまったら、それこそ永遠に忘れることができなくなる、そんな個性の持ち主だ。本作に登場する3人の女性——妻のエリザベス、娼婦のジェーン、そして彼自身が育て上げた女優で愛人のリジーは、まさに彼という人物を映し出す鏡と言えるだろう。
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