Melody（1971 / 英）
小さな恋のメロディ

パブリック・スクールに通う11歳の少年と少女が恋に落ち、「結婚したい」と言い出して周囲の大人たちを戸惑わせるが……。

監督	Waris Hussein
出演	Mark Lester, Tracy Hyde, Jack Wild
ロケ地	153 Hammersmith Road（主人公らが通った学校）
アクセス	地下鉄Baron's Court駅から徒歩

• 珠玉の青春恋愛映画「小さな恋のメロディ」は公開当時、本国の英国と米国では不振だったにもかかわらず、日本では大ヒットを記録したんだよな。
• 日本人に強く訴えかける何かがあったんですかね。
• うーん、よく分からんが、初恋を瑞々しく描いた作品として素直に心に響くのは確かだな。主役の2人、ダニエルとメロディの初々しさも輝きを放っているし、日本人の欧米文化への憧れと相まって、ヒットしたんじゃないかねえ。
• メロディ役の黒髪の美少女、トレイシー・ハイドが日本人受けする顔立ちなんですよね。ダニエル役のマーク・レスターも優しげな草食系の美形ですし、オーンショー役のジャック・ワイルドがまたキュートで親近感を覚えるタイプです。当時、ダニエル派かオーンショー派かでファンが分かれたっていうのも納得ですね。ちなみにジャック・ワイルドは、本作では11歳の役ですが、撮影当時は17歳だったそうですよ。
• そういえば、この映画はもともと「S.W.A.L.K」というタイトルだったようです。これは「Sealed With A Loving Kiss」の略で、主に恋人への手紙の最後に添える一言らしいのですが、この言い回しが米国では一般的ではないとのことで「Melody」に落ち着いたんだとか。
• 邦題の「小さな恋のメロディ」って、すごくいいタイトルだよな。これもヒットの要因の一つのような気がするよ。
• それと、原作および脚本を「ミッドナイト・エクスプレス」「ライフ・オブ・デビッド・ゲイル」で知られるアラン・パーカー監督が手掛けているって知ってましたか? 当時26歳だった同監督にとってはこれが脚本デビューであり、これを機に映画界へと足を踏み入れていくわけです。
• へえー、それは知らなかったよ。
• ところで肝心のロケ地ですが、主にロンドンのHammersmithおよびLambeth地区で撮影されているようです。さすがに40年近く前の作品というだけあって、今ではなくなっている建物も多いようですが……。
• まずは学校の舞台となった場所ですが、レンガづくりの外観はHammersmith Roadの153番地です。こちら、かつてはSt. Paul's Schoolというパブリック・スクールの校舎だったこともある建物ですね。ダニエルとメロディが手をつないでくぐるアーチなどは現存しているようですよ。
• ダニエルは中流階級、オーンショーとメロディは労働者階級という位置づけなのが見て取れるが……。
• ダニエルの家はFulhamのMusgrave Crescentにある一軒です。オーンショーの家とメロディの家は近い設定で、その証拠に2人が近所とするエリアに「The Ship」というパブが出てきます。これはKennington Roadの171番地に今も残っていますね。またメロディが金魚を泳がせる路上の水槽は、Lambeth RoadとKennington Roadが交わるところにあり、こちらも現存しているようです。
• 墓地もたびたび登場するよな。不謹慎かもしれんが、俺も小さい頃、墓地で遊んだりしたなあと懐かしく思ったんだが。
• 墓地のシーンは、Earl's Court近くの Brompton CemeteryとPeckhamの南に位置するNunhead Cemeteryで撮影されているそうですよ。

本作を観たことがない人でも、ビージーズによる挿入曲「メロディ・フェア」はきっと聴いたことがあるんじゃないかな。今でも、特に日本では繰り返しラジオ等で流れてるからね。それにしても、大人になると忘れてしまう、というか、仕方ないこととして諦めてしまう感情を呼び戻すような作品だ。もちろんずっと11歳ではいられないけれど、その頃、抱いた気持ちを覚えているか、それとも全く忘れているか、この2つの間には大きな差があるような気がするよ。