(ロンドン 6月7日 時事)英高等法院は6日の決定で、人工知能(AI)で生成した架空の判例を引用した弁護士は法廷侮辱罪に問われ、刑事訴追される可能性があると警告した。「(司法当局の)指導だけではAIの悪用に対処するのは不十分だ」とも指摘し、弁護士会などに対し、早急に対策を検討するよう要請した。
高等法院は、弁護士がAI生成による架空の判例などを引用し、書面を提出した2件の訴訟について審理。銀行を相手取った損害賠償請求訴訟では、45件の引用のうち18件が架空で、もう一つの訴訟でも5件の存在しない判例が使われていた。
高等法院は「AIが悪用された場合、司法制度の運用や市民の司法への信頼に深刻な影響を及ぼす」と強調。「司法の執行を妨げる意図で虚偽の資料を法廷に提出した場合、犯罪に当たる」と断じた。
AI生成による架空の判例を書面に引用した例は米国などでも報告されており、弁護士らに制裁金が科されている。
Mon, 09 June 2025