ニュースダイジェストのグリーティング・カード
Sat, 23 November 2024

異文化相互理解を深めるための ビジネス文化塾

日本人と英国人が、一つの職場で働く際の問題点とその解決方法を指南する

グレアム・ロレンス グレアム・ロレンス Graeme Lawrence 30年間の日系企業勤務、異文化コンサルタントを経て、現在社内通訳者・翻訳者。静岡県立大学国際関係学部卒。2019年のSOASビジネス日本語スピーチ・コンテスト優勝。
www.graemelawrence.com

第2回 欧州の人は謝らない??

「日本人の顧客や同僚と良い関係を築くために、外国人にとって一番重要なことは何だと思いますか」欧州の人を対象にした日本的なビジネス文化ワークショップの冒頭で私はまず参加者にこう尋ねます。次に、「日本人と仕事をしているとき、一番イライラさせられることは何ですか」、と聞きます。某大手日系電機メーカーに勤めながら初めて現地社員向け日本文化の講演を行って以来、ずっとこれらの質問を聞き続けてきました。

興味深いことに、答えは毎回大体同じで、多くの回答者は一つ目の質問に対して「日本人から信用を得ることが最も重要」と答えます。これはなかなか良いスタートですね。しかし、日本人から信用を得ることが大事だと認識しているものの、それを実現することは難しいようです。

では、その信用を得るのに何が大切でしょうか。最も重要なのは、約束を守ることだと思います。ここで約束というのは、納期や締め切りを指します。それが守られない場合、日本人はまず迅速な謝罪を相手に期待しますが、欧州の人が素直に謝らないときがありますね。それはなぜでしょうか。理由の一つとして、謝る前に納品の遅延や会議への遅刻などの原因(Reason)をまず説明したいという思いがあるからです。そうしないと、気が済みません。つまり、(著者を含めた)多くの欧州人は「意図的に遅れたわけではない。〇〇が起こったため、遅れてしまった」という風にその背景を細かく話さないと、ちゃんとした謝罪にはならないと感じます。説明=謝罪と考える傾向があるのです。

しかし、「Sorry」の一言をまず期待している日本人にとってはその説明が言い訳っぽく聞こえ、話し手に対する信用を失う原因にもなりかねません。ここに日本人と欧州のそれぞれの期待や想定の隔たりがあります。私は欧州の受講者に「信用を失わないためには早く謝るように」といつも助言をしていますが、一方で摩擦を避けるためには日本人が欧州人の気持ちを理解することも大切だと思っています。

謝罪の考え方について補足して言えば、多くの方が既にご存知かもしれませんが、英国で交通事故が起こったときに、自分が悪かったとしても「I'm sorry」と言わないことが常識です。なぜなら、事故現場で口頭で謝ると、後で保険会社に対して賠償請求がややこしくなる場合もあるからです。つまり、変な話ですが、自動車協会が「Don'tapologise」と推奨しているため、個人としては謝りたくても謝れない場合もあります。もちろん、プライドが高いため決して謝ろうとしない人もいますが、これは別問題ですね。

ちなみに、私自身も日本人の妻に「すぐに謝らないね」とまだまだ注意されます……。

さて、二つ目の質問、「日本人と仕事をしていてイラつくことは?」についてはどうでしょうか。次回でお話したいと思います。

それでは、良いクリスマスを。来年も日英関係にとって良い年となりますように。

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