British Bricks
発行元: Amberley Publishing
定価: £15.99
英国のあらゆる場所で見られるれんが作りの建物や公共物は、英国らしさを感じさせるものの一つ。ただ、個々のれんがに注意を払うことは滅多にないだろう。れんが自体は古代ローマ時代から生産されているが、私たちが現在目にしているれんがの多くは産業革命で機械化され、工場生産されたもの。本書は、英国各地のれんが工場で地元の需要に応じるべく生産された、19世紀以降の英国のれんがを写真と共につづったユニークな1冊だ。
そこに並んだ写真から、こんなに多くの種類や多岐にわたる色合いが存在するのかと驚かされる。工場の多くは自分たちが生産した証しとして、工場名や地名などをれんがに刻印している。ブリック・フロッグ(Brick Frog)と呼ばれるこうした刻印は工場の誇りを示すものだが、積まれるために決して表から見えることはない。本書では刻印のさまざまなデザインを紹介しており、かつて英国の繁栄を支えた陰の功労者たちに光を当てている。
近代的な建築が増えたことで、現在れんがの生産者は減少しているとのこと。将来れんが自体が存在しなくなる可能性もあるだろう。この本から英国の歴史を感じ取ってみるのはいかがだろうか。1947~87年まで存在し、かつて英国のレンガの10パーセントを生産した英国石炭庁(National Coal Board)によるレンガについても特別にページが設けられている。