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英国のシネマでフィルムを見ると
アメリカ英語では映画はムービー、映画館はムービー・シアターですが、英国では映画館はシネマ、映画はフィルムと呼ばれます。とはいえ最近では英国でアメリカ英語が使われることも増え、映画をムービーと呼ぶことも少なくありません(わが家の双子は、片方はムービーを使い、片方はフィルムと呼んでいます。子どもたちによれば、中学校内でもどちらの言葉を使うかは人によって違うそうです)。
ところで私が英国で最近見た映画といえば「オッペンハイマー」です。これは、「インターステラー」ほか、数々の人気映画を製作しているクリストファー・ノーラン監督が手掛けた映画。原子爆弾を世界で初めて開発した理論物理学者ロバート・オッペンハイマーの伝記物語です。英国では夏休み中の公開だったのですが、子どもたちには留守番をお願いして、夫との映画デートに選んだのがこの作品でした。今回は久しぶりの映画館で感じた、日本での映画鑑賞との大きな違いを二つご紹介します。
一つ目は、英国では映画の最後に流れるエンド・クレジットを見る人がほとんどいないこと。映画本編が終わると、みんなさっさと席を立っていきます(そして、座席周りのあちこちには紙コップやお菓子の袋が散乱!)。単に原子爆弾の開発というだけでなく、ヒューマニティー、倫理といった重いテーマを扱っている映画を見終わった夫と私は、余韻をかみしめながらエンド・クレジットを見ていました。ところがほどなく照明が全て点灯されてしまい、興ざめだったのは否めません。
英国の人たちがなぜ映画本編が終わるとすぐに席を立つのかについて、これまでいろんな人に聞いてみましたが明確な答えはありません。「アベンジャーズ」シリーズで知られるマーベルの映画には、エンド・クレジットのあとにおまけの映像が付いていることが多いので、それを知っている子どもたちはこのシリーズの映画なら最後まで見ていますが、通常はエンド・クレジットをじっと座って見ている人は皆無。結局、今回の映画を見終わった後も、夫と私は清掃係の人に促されて座席を後にしました。
もう一つ日本の映画館と違うのは、映画についてのパンフレットは売っていないこと。学生時代、毎週のように深夜映画を観に行っていた私は映画のパンフレットを集めるのが趣味でしたが、渡英してすぐのころ、何度か映画館に行ってこの国ではパンフレットはないことを知り、がっかりしました。特に、映画館では家のテレビのように字幕が付かないため、ストーリーを理解しきれないことも(いまだに)多く、パンフレットがあれば、ストーリーの概要や人間関係がもっと分かるのになぁ、と毎回思います。