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席取りのテクニック
今年になって14年ぶりに合気道の稽古を再開しました。先生は英国人ですが、日本でも内弟子として住み込みで合気道を学んできた方。ほかにも道場の先輩の中には、日本の道場にたびたび行って、合気道の研鑽 を続けている人たちがいます。
毎週の稽古の後に、日本茶を飲みながらおしゃべりをするのですが、先生や先輩が話してくれる日本での経験には「日英における、愛しきギャップ」がいっぱいです。
先週話題となったのは、カフェやレストランでの席取りについて。今は英国に住む読者の皆さんも、きっと日本にいたころはやっていたのではないかと思います。そう、自分の席にバッグやパソコンを置いておくことです! 例えばスターバックスなどのカフェで、カウンターに注文に行くとき。まず先に、空いているテーブルを見つけておいて、そこに私物を置いて「ここはすでに私が確保しています」と表現すること、ありませんでしたか。
また、途中でトイレに行く際にも、同様にカバンや携帯をテーブルや椅子に置いていくのも、日本では珍しいことではありませんよね。「隣の人がiPadをテーブルに置いて席を離れたから、心配になって声をかけたら、その人ににらまれた。ヘンなガイジンって思われたのかもしれない!」と、合気道の先生は日本での経験を語ってくれました。先生が親切心から声をかけたのも無理はありません。英国では自分の持ち物を残したまま席を離れるということはしないからです。というのも、そんなことをしたら、あっという間にバッグやパソコンが持ち去られる可能性があるからです。
別に英国が犯罪の多い危険なところだということではありません。ただ、ほとんどの人が「盗まれる可能性があることに対して、責任を持つのは自分だ」という意識を持っているのは間違いないでしょう。
「でも、じゃあ英国では1人のとき、どうやって席をとっておくの?」と、私が質問すると、「英国人がキュー(列)を作るのは知っているでしょう? カウンターで並んだ順番に、席は注文後に座りにいくのがマナーだね。ほかに連れがいるならともかく、1人のときに先に席を取るというのは、あんまり聞かないね」。
「じゃあトイレに行くときには?」「もし運がよくて、隣の人がいい人そうなら、ちょっと席を見ていてくれるように頼むかな」。
確かに私も、1人で電車に乗っていてトイレに行きたくなったとき、座席の下に置いた大きなバッグを見張っておいてくれるよう、隣の人に頼んだことがこれまで何度かありました。
私物を置いての席取りはできない英国暮らし。皆さんはどんな工夫をしていますか。ぜひアイデアを教えてください。