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卒業式のない英国の小学校
3月後半にフェイスブック上で、少なくない数の日本の友人が、お子さんたちの卒業式の写真を投稿していました。それを見て思い出したのは2年前のこと。子どもたちが通った英国の小学校では、卒業式もなかったし、卒業証書ももらってきませんでした。パンデミックだったこともあり、親たちが計画した卒業祝いパーティーもキャンセルになり、子どもたちにはちょっと残念な卒業の思い出となってしまったかもしれません。ただし、卒業式がないのはコロナのせいではなく、英国では毎年のこと。というのも、英国の公立小学校では日本のような卒業式がないところも多いのです。実は、卒業式だけでなく、入学式もないのが英国流。1年生の初登校の日には、真新しい制服を着た幼い子ども(英国の小学校は5歳から始まります)を学校のドアのところで見送っただけ。日本のように、厳かな入学式や校長先生のあいさつなど一切なく、「本当に今日から学校が始まるの?」と、なんとなく物足りない気がしたのを覚えています。
思い起こせば、英国と日本の小学校(といっても自分が知っているのは40年以上前の日本の小学校ですが!)では、随分と違いがありました。
例えば、英国では教科書がありません。先生がスクリーンに映し出す教材をもとに授業が行われ、子どもが家に教科書やノートを持ち帰るということはありません。また、文房具は学校にある共用のものを使用するため、わざわざ筆入れや鉛筆、消しゴムなどをそろえていく必要がありません。
学校給食には肉や魚を使ったメニューと、ベジタリアン用のチョイスがあり、ほかにお弁当を持っていくという選択肢もあります。また、給食を食べるのは教室ではなく、ホールと呼ばれる日本の体育館のような場所にみんなが集まって食べます。子どもが給食当番をするということはなく、給仕はディナー・レディと呼ばれる方たちが担当です。
子ども時代の私は給食を食べるのが遅くて、掃除の時間になってもほこりにまみれながら給食を食べていたというつらい思い出があります。でも、英国では給食の後に掃除をするという習慣はないので、そういう目にあう子どもはいません。では掃除はいつするのかというと、英国では子どもたちが掃除をするのではありません。終業後にクリーニング会社の人がやってきて清掃をしてくれるのです。
子どもを育てているおかげで、英国と日本の違いをさらに知ることができました。実は現在通っている中学校についても、とくに身なりについての校則など、日本との違いに驚くことがあります。それについてはまた改めてご紹介しますね。