五指に入るアルトビール醸造所「ツム・シュ ルッセル(Zum Schluessel)」と、市内で2番目に古いプロテスタント教会、ネアンダー教会 (1684年建立)は、道を挟んだ長年来のお向かい付き合い。ツム・シュルッセルの客はビールを飲みながら教会を眺め、教会信者はミサの後にツム・シュルッセルでビールを飲む、といった具合だったが、それならいっそ、醸造所から張り出したビア・ガーデンと教会の前庭をつなげて、お互いに得をしようじゃないか、ということになった。
「庭で売られたビールの売り上げに連動した配当金を教会にお支払いする」とビジネス・パートナーの立場を強調するのは、ツム・シュルッセルのオーナー、ハインツ・ガッツバイラー氏。これに対して女性牧師のレナーテ・ツィ リアンさんは「これまでも結婚式や洗礼式、お葬式の後にも参列者がビア・ホールに向かうケースは多く、庭にビア・ガーデンが出来るのは実用的でしょう」とさらり。
もちろん教会がビア・ガーデンに参画する背景には、信者の教会離れとそれに伴う資金難がある。ビア・ガーデンの売り上げで、近年は長らく途絶えていた「教会音楽隊」が復活することになるそうだ。またツィリアン牧師は、「ビ ア・ガーデンには潜在的な信者がたくさん座っているはず」と信者ゲットへ熱い想いを語る。 酔っ払ったらざんげしたくなる人は、きっといる。ナイスな着目点かもしれない。
教会ビアガーデンは当面、週末だけの営業になるそうだ。ビールだけではなく料理もオー ダーできるが、飲み食いわいわい盛り上がっている人の群れとドア1枚を隔てて、果たしてそこで心の平安は得られる?
8月12日付「Rheinische Post」紙“Prost zum Wohl der Kirche”ほか
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