Chatroom
チャットルーム(2010 / 英)
家族と不仲のウィリアムは自室にこもり、ネットの世界に没頭する毎日。ある日、自身のチャットルームに訪れた4人の男女と会話していたところ、そのうちの一人が鬱病だと告白し……。
監督 | Hideo Nakata |
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出演 | Aaron Johnson, Imogen Poots, Matthew Beard ほか |
ロケ地 | Regent's Canal |
アクセス | ロンドン北部のテムズ河沿い |
- 今週はあの「リング」の中田秀夫監督が、英国に活動の場を移してつくり上げた心理サスペンスです。
- オンライン上の「チャットルーム」で知り合った男女5人が、それぞれ「憎んでいるもの」などを告白して悩みや思いを共有する。しかしこのチャットルームを開設したウィリアムは、巧みな話術で彼らを引きつけ、またポジティブな言葉を投げ掛けて勇気づけたりしながら、実はカモとなる弱い人間に目を付け……という話ですね。
- 本作でも脚本を手掛けている、エンダ・ウォルシュ原作の舞台が基になっています。主役のウィリアムに扮するのは「キック・アス」のアーロン・ジョンソン、また「28週後…」のイモージェン・プーツや「17歳の肖像」のマシュー・ビアードなど、英国の若手俳優が勢ぞろいしていますね。
- が、しかし。
- はい。
- どうなんだこの映画。はっきり言ってつまらなかったぞ!
- ねぇ。宣伝文句やDVDパッケージの雰囲気と内容が違いません? 僕はもっとこう、主人公が圧倒的に「悪」で、身震いするような恐怖を期待してたんですが……。
- ソーラ・バーチちゃん主演の「穴」って映画あるだろ。あんなのを期待してたんだがなぁ。ストーリーに全くと言っていいほど、ひねりがないな。
- 「 チャットルーム」というオンライン上の仮想現実的なコミュニケーション空間を3Dとして映像化するという発想は、面白いと思ったんですが……。
- うん、でも3Dにした結果がこれ!? っていう……。ウィリアムが開設したチャットルーム「Chelsea Teens!」なんて、どっかのクラブのVIPルームかよ、って感じじゃなかったか。無駄にチャラチャラした場面も頻繁に出てくるし。
- 確かに、オンラインでチャットするときって、ああいう華やかな空間はイメージしないですよね。チャットはやっぱり文字で会話するってところに意味があるような気がしますし……。まあ、それを言ったら身も蓋もありませんが。
- ウィリアムが時々眺めていたチャットルーム「Ultimo Quatro」では、みんなから激しく攻撃を受けている子がいたりして、まさにこれはネットの世界でいう「炎上」だなと思ったりもしましたけどね。
- でもとにかく全体的に薄っぺらい印象は拭えん。音楽の使い方から演出の仕方まで、映画というよりテレビ・ドラマのような仕上がりじゃないかね。
- アーロン・ジョンソンのウィリアム、ナルシスティックですよね。残念なことにちっとも危険な感じがしません。鬱病だと告白するマシュー・ビアードのジムの方が、まだ好感を持てました。
- ジムが最初に登場する場面、屋外でラップトップを広げてチャットに参加する場面は、ご存知「Camden Lock Market」ですね。観て分かる通り、数多くのシーンが同マーケット内で撮影されています。また彼がお父さんと動物園にペンギンを見に行く話を再現したシーンと、後半、ウィリアムと対面するシーンは、おなじみ「LondonZoo」ですね。
- その後、クライマックスへと続く2人の追いかけっこでは「Primrose Hill」や、イズリントン周辺の「Regent's Canal」などがロケ地に使われていますね。
アーロン・ジョンソンのファンならそれなりに楽しめるかもしれんが、恐怖映画ファンには全くお勧めできない作品。中田秀夫監督らしさも全然感じられなかった。「チャット」を題材にしている以上、もっと会話がもたらす心理ゲーム的な要素があっても良かったんじゃないの。かつてNHK教育テレビでやってた「真剣10代しゃべり場」の方が、いろんな意味でよっぽどスリリングだったような気がするぞ(笑)。
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