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Fri, 19 April 2024

第8回 Birmingham - King's Norton
ゴールまであと42キロだ

28 October 2010 vol.1273

カヌー旅行の航路 - Knowle - Birmingham

来年に行う旅の下見をしておく

7月4日。カヌーを置いて、バーミンガムの街中へと出掛けてきた。英国第2の都市というブランド・イメージに期待してではなくて、別の目的があったからである。

今回の旅の元々の計画は、点と線を繋げば次の様になる。ロンドン−バーミンガム−マンチェスター(産業革命ルートの完結)−チェスター(中世の面影を残す街の観光)−スラゴスレン(地上36メートルのアクアダクト体験)。その後、日程が許せば、ウェールズからアイルランドへ足を伸ばすことにしようと、スランドゥドゥノ−ダブリン−リバプールと、アイリッシュ海を往復するフェリーの発着時刻まで調べておいた。

この計画は諸般の事情から変更し、バーミンガム以降の旅程は、英国運河の旅パート2として、実施を来年に延期することにした。再出発の地は、バーミンガムとなる。バーミンガム駅、郵便局(局留めで送るカヌー一式の受け取りを行う)、アウトドア用品店、食料品店(旅に必要なものを現地調達する)などを、詳しく調べておく必要があった。

階段状に連なるロックでは、トゥパス(側道)に出てカヌーを引いていった方が速い 写真:吉岡嶺二
階段状に連なるロックでは、トゥパス(側道)
に出てカヌーを引いていった方が速い
写真: 吉岡 嶺二

ギロチン・ロックを潜り抜けて

テント地へ戻ったのは、午後の4時少し前。まだ3時間程は漕げるから、少しでも進んでおくことにした。その後の時間は短いながらも、景色の方は、次々に変化していく迫力あるものになった。左舷に見えてきたのは、バーミンガム大学だ。同大キャンパス内にある、「ジョセフ・チェンバレン・メモリアル・クロック・タワー」という、20世紀初期に建てられた特徴ある建物を、木々の隙間からカメラに収めて過ぎた。

5キロ程進むと、キングス・ノートン・ジャンクション。左折してストラトフォード・アポン・エイボン・カナルに入った。終点まであと42キロ。マラソンの世界王者なら2時間程度だが、この間に待ち構える56カ所のロック(閘門 -こうもん)群が最後の難関だ。

すぐにギロチン・ロックがきた。空中高く鉄の包丁が吊り上げられているかのように見えるが、現在は使用されていないから、フリー・パスだ。続いてすぐにスウィング・ブリッジ。短く、片側が持ち上がって傾いている橋の下を通り抜けていくことになる。

今宵の夕飯はガモン(ポーク)のステーキ

ストラトフォード運河に入って水路幅は細くなり、橋の下は更に狭くなった。自分が使っているパドルの長さは223センチだが、差し渡してみると、ブレードの先の余裕は10センチもない。直線コースではあるが、私が操縦するカヌーよりも一回りも二回りも大きいナロー・ボートがノー・タッチで進むのは難しかろう。

今度はトンネルだ。352ヤード(約322メートル)と短いし、最初から出口が見えているから何の心配もない。ノー・タッチで漕ぎ抜けた。ただトンネル内ではすれ違いはできない。両側から鉢合わせになったときはどうするのだろう。トンネルの出入り口両側には「Give Way」と書かれて、待機所まであるが、どちらに優先権があるのだろうか、などとついつい余計なことを考えてしまう。

この後には短いアクアダクト、そして電動の跳ね橋が見えてきた。この橋は英国運河局の専用キーで操作しなければ開閉できないが、背丈の低いカヌーならばただその下を潜っていけばよい。地図にパブ印を見付けたところで、今日はここまでだ。今宵のメインは、ガモン(ポーク)のステーキである。


 
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吉岡 嶺二(よしおか・れいじ)
1938年に旧満州ハルビンに生まれる。早稲田大学卒業後、大日本印刷入社。会社員時代に、週末や夏休みを利用して、カヌーでの日本一周を始める。定年後は、カナダやフランス、オランダといった欧州でのカヌー旅行を行っている。神奈川県在住。72歳。
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