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Mon, 18 June 2018

英国発ニュース

英下院、決裂回避の提案否決-メイ政権は譲歩へ

 (ロンドン 6月13日 時事)英下院は12日、欧州連合(EU)離脱法案の採決を行い、EUとの決裂回避に向けた修正案を反対多数で否決した。与党・保守党内の親EU派議員15人前後が造反し、最大野党の労働党などと共に賛成に回るとみられていたが、メイ首相が譲歩を約束し、必死の引き留め工作を図った結果、土壇場で懐柔に成功した。

 修正案が通れば、決裂リスクをちらつかせてEUから妥協を引き出す瀬戸際戦術を弄してきたメイ政権が「交渉の立場を弱める」(閣僚)だけでなく、政権の存続に関わる問題に発展する恐れがあるとみられていた。

 採決結果は反対324、賛成298。保守党で造反したのは、筋金入りの親EU派のケネス・クラーク元財務相とアンナ・スーブリ議員の2人だけだった。

 ただ、メイ政権と与党の親EU派は、離脱交渉が非常事態に陥った場合に議会が強大な権限を行使できるか否かという問題の核心部分で溝が埋まっておらず、今後の話し合いの過程で亀裂が再び表面化する可能性をはらんでいる。

 修正案は上院が4月に可決。政府とEUの交渉が暗礁に乗り上げたり、政府とEUの合意内容に議会が異議を唱えたりして紛糾した場合、議会が政府に対して交渉の「指示」を与えることができると定めていた。

 メイ政権は欧州懐疑派が手綱を握っているが、議会は親EU派が多数を占める。修正案によって議会の権限が強化されれば、英国の離脱方針は移民規制重視の「ハード・ブレグジット(強硬な離脱)」から経済優先の「ソフト・ブレグジット(穏健な離脱)」に転換するだけでなく、交渉が決裂しかけた場合は、EU基本条約「リスボン条約」50条(離脱条項)の規定にのっとり、交渉期間の延長をEUに要請する公算が大きかった。

 修正案の否決を受け、法案は来週にも再び上院に送付される。その際、メイ政権は親EU派のドミニク・グリーブ下院議員がまとめた提案をたたき台に譲歩を検討することになりそうだ。

 グリーブ氏の提案によると、政府は10月中の実現を目指しているEUとの離脱合意が下院で承認されなかった場合、①7日以内に動議を提出し、今後の対策について下院の承認を仰ぐ、②11月末まで待ってもEUとの合意が成立しなければ、政府は改めて動議を提出、下院の同意を求める、③来年2月15日になっても合意がまとまらない非常事態下では、議会の指示に従う-ことになる。

 この提案について、EU離脱省の報道官は「下院が政府の交渉の手を縛ることには同意しておらず、今後同意することもない」と述べ、親EU派を強くけん制。議会の指示に従うとの点を拒否する姿勢をにじませた。

 ただ、議会の規定上、法案は上院を経て、もう一度下院に戻ってくる見込みだ。グリーブ議員はBBC放送に「想定した内容を得られない結果に終われば、(改めて)下院で議論する必要がある」と強調しており、今回の修正案の否決は、実質的に問題を先送りしただけとの見方もできる。

 保守党は昨年6月の総選挙で過半数を割り込んだため、メイ首相は政権運営のため、北アイルランドの地域政党・民主統一党(DUP)の閣外協力を仰いでいる。親EU派がまとまって造反すれば、政権の命取りになるとみられている。

 かねてメイ首相は「下手な合意より、決裂の方がましだ」と豪語していた。政権内の強硬派もEUとの関係を可能な限り清算することを望んでおり、今秋までに合意がまとまらなければ、進んで決裂を選択するリスクも排除できない。

EU離脱法案は、英国のEU加盟を基礎付ける「欧州共同体法」を廃止する一方、既存のEU法令を国内法化する内容。上院の審議で196件の修正が加えられ、このうち決裂回避策など15件の修正が焦点となった。

 下院は12日、法案から離脱の期日を削除する修正案なども否決した。13日にはEUの関税同盟や単一市場に事実上残留するよう政府に求める修正案の採決を予定している。

12日の討論は「第二次大戦以降で最も重要な採決だ」(スーブリ議員)などと白熱。メディアの注目度も高かった。
 
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