WHOが英ワクチン使用を後押し
効果をめぐり混乱も
ロンドンでは、身体に障害を抱えるなどの理由でクリニックにアクセスできない人々のため、ブラック・キャブを利用したサービス「ヴァクシー・タクシー」が始まった
(ベルリン 2月11日 時事)世界保健機関(WHO)は10日、製薬大手アストラゼネカとオックスフォード大学が共同開発した新型コロナウイルス・ワクチンについて、65歳以上の高齢者も含め使用可能と推奨する見解を示した。ワクチンの効果について混乱が広がっていたが、広範な使用を後押しした形だ。
日本でも製造・販売の申請が出されたばかり。
同ワクチンをめぐっては、ドイツやフランスなど一部の国が、データ不足を理由に高齢者への接種は「非推奨」と決定。南アフリカも、同国の変異ウイルスへの働きは限定的と警告する暫定研究結果をもとに接種を保留した。
今回の見解を示したのは、ワクチンの使用方法などを提言するWHOの専門家委員会。データが不足してはいるものの、ワクチンの仕組みなどから「高齢者にも効果がある公算が大きい」と結論付けている。
南アの変異ウイルスが広がる地域でも「推奨しない理由はない」と強調した。今回の勧告とは別に、途上国のためにWHOが安全性などを検証しお墨付きを与える緊急承認についても、近く判断する*。
同ワクチンは一般的な冷蔵庫(2~8度)で保存でき、超低温が必要な米ファイザー製などと比べ管理しやすい。すでに多くの国で承認されている。
* 世界保健機関(WHO)は15日、韓国とインドの提携先で生産される同ワクチンの緊急使用を承認した。
アストラ社が独バイオ企業と連携し、コロナ・ワクチン増産へ
(フランクフルト 2月11日 時事)ドイツのワクチン製造受託会社IDTビオロギカは10日、製薬大手アストラゼネカと共同で、独東部デッサウの工場で新型コロナウイルス・ワクチンを増産するための投資を行うと発表した。生産設備の拡張により、月に数千万回分のアストラ社製ワクチンの製造が可能になるという。新施設は2022年末までに稼働させる方針。
アストラ社のワクチンと同様の製造工程を経る他社のワクチン生産も可能だという。
さらにアストラ社は声明で、欧州での差し迫った需要に対応するため、同社製ワクチンの生産を21年4~6月期に加速させるための検討をIDTと行っていると説明した。
一方で、米製薬大手ファイザーとコロナ・ワクチンを開発した独ビオンテックは同日、独中部マールブルクの新工場が稼働したと発表した。同所で製造されたワクチンは4月上旬にも出荷が始まり、完全に稼働すれば年間最大7億5000万回分のワクチンを生産できる見通し。