※ 新型コロナウイルスの影響により、NHSやプライベートの歯科医は通常と異なる診療体制を取っています。利用の際はまず電話かウェブサイトで事前に確認を。
歯科医療の仕組み
NHSを利用する際の注意点
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NHSにおける歯科医
NHSでは専門医へ行くにはまずGPへ連絡するとお伝えしましたが、そのほかの病院と異なり、歯科医はGPを通さずに治療を受けることができます。ただしNHS治療でも料金が発生することに加え、治療方法によってはNHSではなくプライベート料金が適用されることもあります。NHSだから料金が安いだろうと行ってみたら高額だった、という場合もあるので注意が必要です。
歯科医は、治療開始前に治療費の見積もりを患者に伝えなければいけないというガイダンスがあるので、きちんと確認しましょう。
NHSにおける歯の治療費
❶ 22.70ポンド
X線撮影検査を含む診療や緊急時の応急措置など
❷ 62.10ポンド
①に加え、詰め物、根幹治療、抜歯など
❸ 269.30ポンド
①②に加え、クラウン治療、ブリッジ治療、入れ歯など
※19歳未満(19歳でフルタイムの学生なら適用)や妊娠中または産後12カ月以内といった場合には治療費が無料になります。
幅広い治療とフレキシブルな対応
プライベートの歯科医
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治療の選択肢が多いプライベート歯科医
プライベート歯科医では、治療費は各歯科医によって大きく異なります。いずれもNHSではカバーしていない治療までも提供しているのが特徴。とりわけ歯のホワイトニングや矯正治療、インプラント治療などの審美治療はプライベート歯科医でのみ受診することができます。※ なお、日本人患者にとっては「一般的な治療」と思えるものでも、英国では「審美治療」に位置付けられる場合があることにあらかじめご注意ください。
またNHSでは予約がすぐに取れない場合が往々にしてあるのに対して、プライベート歯科医の中には問い合わせた当日に治療を受け付けるところがあります。更に、多くのNHS歯科は平日の日中のみ開院しているところがほとんどですが、プライベート歯科医は週末も開院しているところが多いというのも大きな特徴の一つです。なお、英国には歯の治療に特化した、比較的簡単に入れる医療保険が数多く存在します。月々手ごろな料金(年齢やプランにもよる)で利用できるので、使いようによっては、いざというときに心強い味方になる場合もあります。
※ 例外的に医学的な必要性が認められた場合にはNHSにおける治療の一環として見なされる場合もあります。
歯科専門の保険について
NHS歯科医は無料ではないと前のページでもお知らせしましたが、そのためか、英国には歯の治療に特化した比較的簡単に入れる医療保険が数多く存在します。月々手ごろな料金(年齢やプランにもよる)で利用できるので、使いようによっては、いざというときに心強い味方になってくれるかもしれません。保険にはNHS治療のみをカバーするもの、プライベート治療のみをカバーするもの、NHSとプライベートの両方をカバーするものの3種類があります。ただし多くの場合、治療の3カ月から半年前に加入している必要があるほか、プライベート治療の保険返済額はおよそ55~75%であること、純粋な審美治療に適用される保険は種類が少ないことなどは、知っておいた方が良いでしょう。歯科保険でカバーできる治療の代表的なものは下記の通りです。
保険でカバーできる治療
- • 定期的な歯のチェック:歯石除去、レントゲンなどのクリーニングや定期検査
- • 治療と修復:詰め物、クラウン、義歯、入れ歯など。矯正や根管治療が加わる場合も
- • 口内がんなどの治療
- • 海外での歯にまつわるアクシデント
※ 保険会社により詳細が異なります
保険会社Dencoverのプランをサンプルに、プライベート治療をカバーするポリシーの一例を上げてみましょう。
● Dencover
18歳以上の人がDencover Silver プランを選択した場合、年間保険料は108ポンド。チェック・アップ及びレントゲンは年30ポンドまでで100%、歯石除去は年35ポンドまでで80% カバー。クラウン、詰め物、かぶせ物、入れ歯、根管治療などに利用できるのは年210ポンドまでで55%がカバーされます。 ここではDencoverを例に取りましたが、歯の保険を扱う会社はほかにも、AXA PPP 、Boots、BUPA、WPA、Simplyhealthなど色々あります。利用する場合はご自身のニーズに合わせ、最適な保険を選ぶようにしたいものです。
「虫歯」を英語で言うことができますか
歯医者で症状を伝えるための英語表現
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歯医者で使える単語集
- 虫歯
- bad tooth / cavity/tooth decay / corrupt tooth
- 歯石
- calculus / dental stone / scale / tartar
- 歯冠
- crown
- 入れ歯
- artificial tooth / dentures
- 詰め物
- filling
- 歯茎
- gum
- 根管治療
- root canal treatment
- 親不知
- wisdom tooth
歯医者で使える文例集
- たぶん虫歯だと思うのですが。
- I think I have a cavity.
- 冷たいものを飲むと歯がしみます。
- It feels sensitive when I have cold drinks.
- 歯がズキズキと痛みます。
- I have a throbbing toothache.
- 歯がぐらぐらします。
- My tooth is loose.
- 詰め物が取れてしまいました。
- My tooth filling came out.
- 被せものが取れてしまいました。
- My tooth crown came off.
NHSとプライベートの違い
英国の歯科医は大きく分けて国民医療制度(NHS)の歯科医とプライベート歯科医の2つに分かれます。NHS歯科医は、国で定められた料金体系に則った治療を提供*1。高度な技術を要する治療や審美治療はプライベート歯科医でのみ受けることができます。
審美治療や高度な技術を必要とする施術*2で用いられる用語
- ホワイトニング (whitening)
- 歯石やタバコのヤニなどで変色してしまった歯を明るい白色に戻す施術。
- インプラント治療(implants)
- 歯を失ってしまった箇所に人工の歯根を埋め込み、その上に人工歯を被せる外科手術。
- ブリッジ治療(bridges)
- 抜歯した後で前後の歯を削りながら橋をかけるようにして新しい歯をつくる方法。
- 歯列矯正(orthodontics)
- 歪んでしまった歯並びをきちんと整える審美治療のこと。
- シーラント(Sealant)
- 奥歯の噛み合わせ部分にプラスチックを埋め込んで虫歯を予防する方法。
*1 プライベート治療を施すNHS歯科医も多くあります。
*2 NHS歯科医がどのような施術を提供できるかは、治療目的や患者の歯の状態によって異なります。
そのほかの医師とは異なる
英国の特殊な歯科医事情
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NHS歯科医の見つけ方
NHSサービス提供の病院については、前述したNHSのウェブサイトの「Find a dentist」をクリックして、自宅やオフィスなどのポストコードを入力すれば検索できます。GPと同じく、利用者からの評価などを閲覧可。ただGPの場合とは異なり、担当地区が定められているわけではないので、利用者はどの地域の歯科医でも利用することができます。
NHSとプライベートが両方ある歯科医
NHS歯科医院では、NHSとプライベートの両方の治療を提供することがあります。言い換えると、冒頭で紹介した規定の治療費とは全く異なる料金体系で治療を施すことがあるのです。例えば、奥歯の虫歯を治療後に詰め物をする場合、銀色の詰め物であればNHSのサービス、白色の詰め物であればプライベート料金が適用されるといったことが起こり得ます。歯科医では治療開始前に患者にあらかじめ治療費がいくらになるかを伝えなければならない決まりになっているので、きちんと確認しましょう。
治療の選択肢が多いプライベート歯科医
プライベート歯科医では、治療費は各歯科医によって大きく異なります。いずれもNHSではカバーしていない治療までも提供しているのが特徴。とりわけ歯のホワイトニングや矯正治療、インプラント治療などの審美治療はプライベート歯科医でのみ受診することができます。
※ 尚、日本人患者にとっては「一般的な治療」と思えるものでも、英国では「審美治療」に位置付けられる場合があることにあらかじめご注意ください。
またNHSでは予約がすぐに取れない場合が往々にしてあるのに対して、プライベート歯科医の中には問い合わせから即日で治療を受け付けるところがあります。さらに多くのNHS歯科は平日の日中のみ開院する傾向にありますが、プライベート歯科医の中は週末も開院しているものが多いというのも大きな特徴の一つです。
*本稿では主にイングランドを中心とする状況について取り上げています。