イギリスにおけるビザ申請の新制度について①

今回は、2009年3月31日に新制度へと移行した学生ビザの申請方法についてのお話です。

イギリスへ入国する際に必要となる入国査証（エントリー・クリアランス）申請方法が新システムに移行して半年ほど経ちました。その後も細かい追加変更があったりして、個人申請の方はもちろん、世界中の留学エージェントも、対応にてんやわんやの数カ月だったと思います。ビザ審査をするUK Boarder Agency 側も、激しい変化のなかで混乱が生じているようで、サポートする各エージェント側も、申請却下や遅延件数の増加で、「胃潰瘍になりそう」「寝られない」「夢でうなされた」と悲鳴を上げざるを得ない状況のようでした。当社でも実にいろいろなケースが発生し、その対応に追われる日々でしたが、そんな状況も若干落ち着いてきた感があります。

さて、今回のビザ申請方法の変更は、大きく「生態認証が必要になった」「ポイント制による審査になった」「審査場所が集約化された」「現地では学生ビザの新規申請を受け付けない」の4つに分けられます。

生体認証が必要になったことで、これまでは郵送で入国査証の申請が可能であったのが、指紋採取と写真撮影のため、東京または大阪のビザ申請センターへ直接出向かなければならなくなりました。これにより遠方に在住の方への負荷が大きくなってしまったのが、エージェントとして心が痛むところです。

ポイント制による審査とは、学生ビザがNew points based system の導入により、ポイントを満たすかどうかが基準判断となったことで、その証明のために提出しなければならない必要書類が大幅に増えました。学生ビザ（tier4 point based system）発給には、ビザ・レターで30ポイント、資金証明で10ポイントの合計40ポイントが必要となります。

ビザ・レターによるポイント要件には、Sponsor License発行認定校のビザ・レター（大学などの条件付入学許可証は不可）、一定以上の英語力証明（英語力初心者レベルの場合は、したがってStudent Visitor Visa申請になる場合があります）などがあり、資金証明には一定金額の留学資金の保有証明などが新たに追加となりました。

英語力の証明は、英語を勉強する英語コースの場合、CEFRのレベルA2以上のコースで勉強しなければ学生ビザの発給ができないという規定がありますが、公式の英語試験を未受験であった場合も、学校のプレイスメント・テストを受験し、学校で採点されたテストの原本を申請時に証明として提出することが可能です。日本人の方は多くの方はA2レベルに至っているかと思います。ビザ申請に際しては、入学に伴い学校で審査された書類原本を提出（成績表、卒業証明書、英語力証明など）、学校側はビザ・レター上に何を使って入学審査したかを明記する必要がありますので、記載があるものはすべて原本を提出という形になり、ビザ・レターの補足書類としてこちらもしっかり準備して、30ポイント取得となります。

こうした必要書類が1つでも欠けていると、また内容が不適切であったり不備があったりすると、その時点で却下とされてしまいます。以前は、追加書類の提出なども可能でしたが、最近ではより客観的・機械的処理になってきているため、これら書類に不備がないよう、また申請書の表現なども誤解のないように一層、慎重な確認作業が求められます。

中畑 寿子
アフィニティ・エデュケーショナル　
留学・キャリアコンサルタント
ロンドンの語学スクール、カレッジ、大学留学で合計約5年間を過ごし、現在、この経験をもとに、イギリス留学、語学研修、帰国後の転職に関するセミナー、相談、サポートを行っています。


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