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ロンドンのゲストハウス
Sat, 24 August 2019

本当に使える会計

経営において会計は身を守る防具だけでなく、勝ち抜くための武器にもなります。英国日系企業の経営者が知っておきたい会計トピックを、会計のプロが分かりやすく解説。

第36回: パテント・ボックス

「パテント・ボックス」という制度を利用して節税ができると聞きました。我が社の製品の革新性は競合他社の製品と比べても抜きん出ているのですが、パテント・ボックスを利用できますか。

パテント・ボックスの規則は来年4月から段階的に導入される予定で、様々な会社で節税に利用できる可能性があります。ただし、単に革新的な製品を持っているというだけではなく、その製品が英国または欧州の特許により保護されている必要があります。農業関連や医薬品関連など特許以外の形式の知的財産(IP)権にも申請資格がありますが、商標や意匠権は対象外です。

パテント・ボックスには様々な基準があり、これに合致していれば、関連した利益に対する課税率は事実上わずか10%となります。

我が社の製品は日本の親会社が特許を持っていますが、その場合でも申請資格はありますか。

パテント・ボックスは英国または欧州の当局が認めた特許だけに適用されます。ただ英国の法人が特許を保有していない場合でも、考案した製品の開発や展開について英国内全体のライセンスの専用実施権を持っていればパテント・ボックスの恩恵を受けられます。さらに、その企業またはグループ内の関連企業が「開発条件」を満たしている場合には、加えて「積極的な保有形態の条件」を満たしている必要があります。

「開発条件」を満たすためには、その企業が製品を考案したか考案に大きく貢献していなければなりません。「積極的な保有形態の条件」とは、その企業が適格な権利の管理を行う上で積極的な役割を果たしていることを意味します。

節税額はどうやって算出するのですか。

最初に、総収入の中で関連知的財産収入(RIPI : Relevant IP Income)と呼ばれる知的財産に関連した収入部分を明確にします。これには特許取得製品の売上に加えて、ライセンス料やロイヤルティー(使用料)、知的財産権の売却収入、知的財産権侵害の賠償金など知的財産から生じるそのほかの収入も含まれます。次に具体的な費用を割り振るか利益を配分することにより、関連する取引利益を算出します。最後にこの利益から「通常の所得」と見なされる金額を控除します。

通常の所得は、一定の費用(人件費、土地建物費など)及びマーケティング資産(のれん代、商標、マーケティング・データベースなど)から算出します。この調整後の利益は関連知的財産利益(RIPP: Relevant IP Profit)と呼ばれ、この金額に低税率が適用されます。

利益率の低い特許取得製品と特許を取得していない利益率の高い製品を一緒に販売し、その関連収入全体を一括することで課税の軽減を申請することはできませんか。

制度の悪用については詳細で厳しい規定があるため、この規則が意図していないような恩恵を受けることを狙った手法を取ることは非常に危険です。ただし英国でイノベーションの強化を目指すのであれば、開発と商業化の事業の拠点をどこに置くかを慎重に考慮すべきです。英国や欧州以外では製品を特許で保護できない場合、英国や欧州で特許を取得する根拠となります。

特許の取得費用は高くつくので懸念していたのですが、一方で大幅な節税の可能性があるわけですから、特許を取得する価値は大いにありますね。会計士に相談してみたいと思います。

ジョン・フィッシャー ジョン・フィッシャー
パートナー
Ernst & Young、野村證券を経てグリーンバック・アランへ。会計技術はもちろん、高度なビジネス日本語を操り、日系顧客から大きな信頼を寄せられる。日本語スピーチコンテストでは2年連続入賞。

 

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