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ロンドンのゲストハウス
Sat, 24 August 2019

本当に使える会計

経営において会計は身を守る防具だけでなく、勝ち抜くための武器にもなります。英国日系企業の経営者が知っておきたい会計トピックを、会計のプロが分かりやすく解説。

第29回: 外国企業に対するVAT規則の改正

歳入関税庁(HMRC)がVAT(付加価値税)登録制度の改正を進めていると、どこかで読みました。現行制度はどうなっていますか。

現在の制度では、売上高が12カ月間で7万3000ポンド(約920万円)以上という最低限度に達すれば、VATの登録が義務付けられます。この最低限度は、現在では英国企業にも外国企業にも同様に適用されています。従って、英国内で商品やサービスを提供する日本企業は、売上高が7万3000ポンドに達したらVATの登録をしなければなりません。逆に、あくまでも現行制度においては、英国企業は、売上高がこの額を下回るならば、VAT登録を考える必要はありません。

また、商品やサービスの供給額が翌30日以内にVAT登録の最低限度を超えると見込まれる場合には、事前にVAT登録することが義務付けられています。

なるほど、現行制度は分かりました。それでは改正案はどのようなものですか。

大半のEU諸国では、最低限度に達するか否かに関わらず、外国企業に対してはVAT登録を義務付けています。英国は、ほかのEU諸国と同様にこうした制度を採用するよう欧州委員会から指示を受けています。つまり外国企業のVAT登録の最低限度が、7万3000ポンドからゼロに引き下げられるというのが改正案の内容です。

改正案はいつから導入されますか。またVAT登録が必要かどうかは、どうすれば分かるのですか。

HMRCはこの改正案を今年の8月1日から実施するとの見通しを発表していますが、実際には施行日が今年の12月1日まで先延ばしされる模様です。ただいずれにしても大きな変更となるので、この改正案についての動きを認識しておく必要があります。

英国内で商品を供給している日本法人は、英国でVAT登録の義務があるか否かの確認を改めて行うことをお勧めします。またサービスを提供している事業者も、そのサービスが厳密な意味において英国内で提供されていると見なされるかどうかを確かめる必要があり、その結果によって登録を義務付けられる可能性もあります。

VATに関して、HMRCは「外国企業」をどのように定義していますか。

VAT関連において、外国企業とは、英国内で事業を手掛けているものの、英国内に定まった事業所などを持たない企業のことです。英国法人であれば法的に英国で設立されているため、英国内に事業所を持つと見なされます。

VAT登録が必要であるにもかかわらず、登録しなかった場合はどうなりますか。

現在HMRCは、登録が遅れた場合、VATのネット支払い額(純納税額)に対して30%超の罰金を科しています。もし正当な理由があればこの額が引き下げられることもありますが、現在は税収を増やすためにできるだけ厳格に罰金を科すようになっています。HMRCは、EU内で事業を手掛ける企業ならばVAT登録の最低限度を把握しているのは当然であり、その認識に従って業務を行うべきと考えています。

今年予定されている改正への対応の遅れなどに関しては、外国企業に対してHMRCが寛大な対応を示すことが期待できますが、特にその保証があるわけではありません。英国で商品やサービスを提供しようと考えている場合には、なるべく早めに助言を受けることをお勧めします。

パンボス・パッツァリーディーズ ポール・ブラッドリー
パートナー
VATパートナー。関税で17年の経験を積み、通算20年以上この分野の専門業務に携わる。グローバル企業の頭を悩ます複雑なVAT問題を鮮やかに解決。F1観戦が趣味で、マクラーレンのファン。

 

 

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