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Wed, 11 December 2019

本当に使える会計

経営において会計は身を守る防具だけでなく、勝ち抜くための武器にもなります。英国日系企業の経営者が知っておきたい会計トピックを、会計のプロが分かりやすく解説。

第20回: 東日本大震災の財務報告への影響

主要サプライヤーが今回の大震災で大きな打撃を受けたため、顧客からの大量の受注を取り消すか納期を遅らせる必要がありました。こうした費用は、「特別項目」となりますか。

いいえ。英国会計基準(UK GAAP)では事実上、特別項目はありません。また国際財務報告基準(IFRS)では、特別項目は禁じられています。費用の規模にもよりますが、特別な開示を正当化できるとすれば、「例外項目」としてでしょう。

当社の決算日は2011年3月末でしたが、震災を受けて新たな負担が必要となりそうな費用があります。こうした費用は財務報告書で示す必要がありますか。

恐らく引当金か、財務コミットメント(財務負担契約)や偶発費用として計上する必要があります。引当金を計上できるのは、貸借対照表の日付より前に起きた事象の結果に同日付の時点で支払い責任があり、実際に発生すると見込んだ金額に信憑性がある場合に限られます。同日付の時点で支払い責任はないものの、後に責任が発生することが分かっている場合には、これを財務コミットメントとして開示する必要があります。もし支払い責任の発生する時期や金額がはっきりしなければ、偶発費用として開示することになるでしょう。

当社の監査人は、今後この状況により事業にどのような影響が出るか説明を強く求めてきますが、実際のところ我々にもはっきりとは分かりません。まだ予算も修正していないので、従来のものだけを示しています。これで大丈夫ですか。

予算が既に古いと考えるなら、これについて監査人と率直に話す必要があります。重要なのは、財務報告書を従来通りに継続事業ベース(going concern basis)で作成する必要があるかどうかという点です。影響について不確定要素があるものの、貴社も監査人も継続事業ベースと考えるならば、この点を財務報告書で開示する必要があるかもしれません。

つまり監査報告書は限定付きとなるのですか。

いいえ。こうした場合に監査人は「追記情報」を加え、この問題への注意を促しますが、監査報告書が特に限定付きとなるわけではありません。貴社が大規模に融資や取引を行うグループ内企業が、大震災で打撃を受けた場合も同様です。

財務報告書に最終署名をしてもらう前に状況が変わる場合は、どうなりますか。

監査人は監査報告書に署名する日までの事象や取引を調べ、財務報告書への影響について検討する責任があります。このため良いことでも悪いことでも、どんな変化であれ監査人に伝えるべきで、これにより財務報告書に影響が出る可能性もあります。

当社は東日本大震災への義援金として多額の寄付を行いました。これを開示する必要がありますか。

寄付の規模や企業が置かれた状況によりますが、開示が必要となることがあります。英国の小規模企業向け財務報告基準で報告している企業は、2000ポンド(約26万5000円)を超える英国での慈善寄付を取締役報告書で開示することが義務付けられています。

大震災による混乱で様々な納税申告の提出に遅れが出ています。この場合でも罰金が科せられますか。

歳入関税庁(HMRC)は、具体的な状況によっては提出遅延を「正当な理由」と認めることもあります。貴社の具体的な状況について助言を受けてみるだけの価値はあるでしょう。

スティーブン・ダビー スティーブン・ダビー
パートナー
デロイト時代から多くの日系企業を担当。その鋭い感性から日系クライアントが求めるサービスを的確に見抜いて絶大な信頼を得る。趣味はアンティーク模型で、海外のオークションにも出向くほど。

 

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当記事はあくまでも一般的な情報を提供する目的で作成されており、専門的なアドバイスを目的としたものではない為、これを受けての対応は独自の責任の下で行ってください。
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