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Fri, 18 October 2019

本当に使える会計

経営において会計は身を守る防具だけでなく、勝ち抜くための武器にもなります。英国日系企業の経営者が知っておきたい会計トピックを、会計のプロが分かりやすく解説。

第6回 移転価格

移転価格について、分かりやすく説明してもらえますか。

企業がある国で製品を生産し別の国で販売する場合に、製品をある国の生産子会社から別の国の販売子会社に引き渡すことがあります。両方の子会社はひとつのグループ企業の支配下にあるため、理屈としては、引き渡す際に「移転価格」として、製品価格を好きなように決めることができます。

製品を販売する企業だけに関係があるのでしょうか。

いいえ。管理業務や顧客対応、マーケティング、財務などあらゆるサービスに当てはまります。対象が広範囲にわたるため、はっきり分からない場合には会計士に聞いてください。

移転価格を利用すれば、利益を法人税の税率の低い国に移すことができるわけですね。

残念ながら、それは違います。英国や日本を含めて大部分の国には、これを防ぐための税務規則があります。英国では、移転価格が「独立した当事者間の基準(arm's length standard)」に合致していると見なす理由を示した証拠文書を用意する義務があります。

「独立した当事者間の基準」とは何ですか。

取引の条件が、独立した別々の企業の間で取引が行われる場合と同程度なら、「独立した当事者間の基準」となります。

そんなに複雑な決まりではなさそうですね。

ただ、注意が必要です。必要書類が面倒なためです。英国の規則は経済協力開発機構(OECD)が定めた広範なガイドラインに準じていますが、このガイドラインは、検討が必要な事項や企業内取引が「独立した当事者間の基準」に合致していることを証明する方法などについて、非常に細かく定めています。また査察があった場合には、たとえ歳入関税庁(HMRC)がその移転価格について同意していたとしても、文書が不十分というだけで罰金を科せられる可能性もあります。

なるほど。それでは専門家に移転価格報告書を作成してもらう必要がありますが、これは高くつきそうですね。日本で作成したものをグループ企業全体で使うことはできますか。

OECD加盟国の移転価格の規則は、同じガイドラインに基づいていても、各国でそれぞれ違いがあります。日本の移転価格報告書は非常に役に立ちますが、英国で求められる条件を満たすには、それだけでは不十分かもしれません。

当社は小さな企業で予算も限られているのですが……。

グループ企業が中小企業の基準を満たしていれば、面倒な条件は免除されます。目安としては、グループ企業の従業員が250人以上ならば規則はそのまま適用されます。もし従業員が250人未満で、年間売上高が5000万ユーロ(約60億円)未満あるいは総資産が4300万ユーロ未満ならば、免除されます。ただし、例えば従業員数を割り出すときの派遣社員やパートタイム社員数の計算方法やグループ内で完全子会社ではない企業を含める場合などについても細かな規則がありますので、詳細は税務アドバイザーに確かめてみましょう。

この報告書作りを、毎年行わなければいけないのですか。

一般には、業務や事業環境で大きな変更があった場合はもちろん、そうでなくても2〜3年ごとに報告書全文を作成するのが最善です。その間は、通常なら大まかな見直しで十分でしょう。ただこれについても、それぞれの業界によって取り決めが異なりますので、注意が必要です。

スティーブン・ダビースティーブン・ダビー
マネージング・パートナー
デロイト時代から多くの日系企業を担当。その鋭い感性から日系クライアントが求めるサービスを的確に見抜いて絶大な信頼を得る。趣味はアンティーク模型で、海外のオークションにも出向くほど。

 

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当記事はあくまでも一般的な情報を提供する目的で作成されており、専門的なアドバイスを目的としたものではない為、これを受けての対応は独自の責任の下で行ってください。
正式なアドバイスは、全体的且つ詳細状況を把握した上にのみに提供される必要があります。また、ここに記載の情報は、執筆当時において最も正確なものとして提供を行っています。
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