フルフィルメントハウス・デューデリジェンス制度とHMRCへの新たな登録要件
フルフィルメントハウス(販売代行会社)に関する新しいデューデリジェンス制度により、一部の企業はHMRC(歳入関税庁)に登録する必要があると聞きましたが。
英国の企業が、EU域外で設立された販売業者のために、英国内で製品を保管する場合、このような企業はHMRCにフルフィルメントハウスとして登録することが義務付けられました。この新しい法規は、EU域外の販売業者から輸入した製品の販売で、VAT(付加価値税)及び必要な場合には関税を支払う責任がある英国企業を明らかにし、HMRCがこうした企業を管理するのに役立たせるものです。
登録する必要があるのはどういった企業ですか。
この新しい法規は、主としてオンライン・プラットフォームで取引している企業、または顧客に製品を輸送するのに第三者の専門倉庫業者を利用している企業を対象にしようとするものと解釈されています。しかし、新制度はそうした企業だけを対象にしているわけではなく、製品を保管し、以下のすべてが当てはまる企業の場合にも、フルフィルメントハウス登録が必要になると法規で明言されています。
- • 製品がEU域外の国から輸入された。
- • 製品はEU域外で設立された業者が所有し、その業者のために保管されている。
- • 製品は売り出されているが、以前に英国内で販売されたことはない。
登録した企業が、HMRCに報告しなくてはいけないことは何ですか。
この法規に則り、フルフィルメントハウスとして登録した企業は、デューデリジェンスの確認を実施し、HMRCに報告するための証拠を保持することが必須要件となります。以下のような確認が必要です。
- • 顧客の名前・住所が正確であること。
- • 各顧客が有効なVAT登録番号(VRN)を提示していること。
- • フルフィルメントハウスが、自社の倉庫に保管されている製品の内容(数量と品目を含む)とその製品の所有者を明示できること。
- • 国外の各顧客に対して、HMRCが定めた通知を発行し、国外の顧客の義務と義務を履行しない場合の影響を明記すること。
登録を免除されることはありますか。
当初の法規では、HMRCが考えていなかった企業も対象となっていました。このためHMRCは法規を改正し、中継貿易などで英国内で流通しない製品を保持する企業は、登録の必要がないことを明確にしました。これには、保税制度によりまだ正式に英国に輸入されておらず、保税倉庫の取り決めや、関税一時措置(TA)の免除により英国に保持されている製品も含まれます。
どういったことに配慮する必要がありますか。
EU域外で設立された販売業者に帰属する製品がその国で販売される前に、企業がその製品を英国に輸入する場合には、このフルフィルメントハウス・デューデリジェンス制度の新しい法規に自社が該当し、登録する必要があるかどうか、よく検討し、専門家に助言を仰ぐことをお勧めします。
シャロン・ギリス
VAT パートナー・デジグネート
HMCE(現HMRC)にてVATアシュランス関連業務、その後多国籍企業や様々な分野の顧客へのVATの助言を専門とする。現在GBAのVAT部門に高い専門性と豊富な知識をもたらしている。