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Wed, 13 November 2019

本当に使える会計

経営において会計は身を守る防具だけでなく、勝ち抜くための武器にもなります。英国日系企業の経営者が知っておきたい会計トピックを、会計のプロが分かりやすく解説。

会社清算 その1: Strike OffとMVL

弊社では欧州地域のグループ再編の一環で英国子会社の清算が決定しました。どのような方法が考えられますか。

債務超過などの破産状態ではない限り、主に「Voluntary Strike Off」(以下Strike Off)と「Members Voluntary Liquidation」 (以下MVL)の2種類が考えられます。一般的にはStrike Offは簡易的でロー・コストな方法、MVLはより正式な方法で多くのプロセスが発生しコストもかかる、という印象かもしれません。ただ清算の目的や現時点での会社の状況によっては、必ずしもStrike Offが簡易的とは限りません。

まずStrike Offの性質を大まかに教えてくれませんか。

Strike Offでは会社の清算準備が整った時点でカンパニーズ・ハウスに申請し、受理された時点で会社は清算されたことになります。清算手続きはシンプルに見えますが、「会社の清算準備が整った時点」までどれだけの作業が残っているか、そのタイムラインはどうなっているか、を考慮しなければなりません。英国会社法によると、Strike Off申請からさかのぼって3カ月は清算に必要な一部の取引を除いて原則としては取引が発生していないことを条件としています。従って、休眠会社や特別目的会社などで元々取引がほとんどない会社は確かに簡易的に清算を完了できますが、経済活動が活発に行なわれている会社を清算する場合は、相応の準備期間を要することが予想されます。

清算準備に向けた時間がカギになりそうですね。

もう一点注意すべきことがあります。Strike Off後6年間は、債権者を始めとするステークホルダーの裁判所への申し立てにより、カンパニーズ・ハウスによって会社を復元することができるのです。特に税務当局からの調査が決定された場合は、復元されるリスクが高くなります。こういった観点からも、取引完了から申請まで十分な期間があり、各種税務上の懸案も無い状態であることを確認することが必要です。

MVLはどうですか。

MVLの大きな特徴は清算人を任命する点です。清算人はInsolvency Practitionerとしての資格を有する専門家です。取締役会で任命しますと、会社は清算人の管理下となり、株主や取締役は会社のコントロールを失います。残務作業は清算人が行い、清算作業が完了して最終ミーティングを招集。最終配当を行うまで、会社メンバーの関与は大きく減ります。御社のように現時点で取引がある場合、清算人の任命によって、取締役は一部の残務作業から解放されます。

弊社でもすぐに清算人を任命してしまえばいいわけですね。

いえ、清算人を任命する前にある程度は準備を整えておく必要があります。例えば従業員の解雇や移転、社屋のリース契約など重要な懸案が残っている場合、清算人は会社清算が完了できないリスクが高いと判断して任命を受け入れない可能性があるからです。法的なリスクを抱えるものは清算人任命前に解決しておく必要があります。また多くの作業を残して委譲することは、清算人費用の増加になりますので、タイムラインや社内処理のコストなどを考慮した上で、どの時点で任命するかを検討することをお勧めします。

Strike Offの時のような会社復元のリスクはないですか。

残念ながらMVLによる清算法でも一定期間は復元リスクが残ります。ただMVLは債権者への告知や税務当局への確認(Clearance Letter)など正式な手続きを経るため、容易に復元はできなくなります。

次回は税務・会計上の考慮すべき点やタイムラインなどの詳細について言及したいと思います。

高西祐介 高西祐介
監査・会計パートナー・デジグネート
GBAにて資格取得後は大手会計事務所に移籍、多くの英系大企業監査を担当。日系企業をサポートしたいという強い思いからGBAに復帰。趣味はDJで、たまにショーディッチのバーで回している。

 

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