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ロンドンのゲストハウス
Sat, 24 August 2019

本当に使える会計

経営において会計は身を守る防具だけでなく、勝ち抜くための武器にもなります。英国日系企業の経営者が知っておきたい会計トピックを、会計のプロが分かりやすく解説。

ハイテク企業に対する英国の優遇措置

英国ではハイテク企業に対して手厚い優遇措置があると聞きました。

英国にはR&D(研究開発)税額控除とパテント・ボックスがあります。R&Dへの出費や知的財産(IP)関連の利益がかなりある場合には、両方の優遇措置を使えば実効税率を10%未満に抑えることができます。

当社ではR&Dをほかの国で実施しようと考えていますし、特許は日本本社が保有しています。

そのような状況でも恩恵は受けられます。英国内でR&Dを行わなければならないという条件があるわけではないので、英国法人の外国支社や、英国のR&D部門が管理するR&D活動をグループ企業が行う場合でも大丈夫です。またパテント・ボックスでは、日本の企業グループが特許の所有権を日本で100%保有したままでも構いません。英国でIPの使用権を取得していれば、税率10%の優遇を受けられます。

日本のR&D優遇措置を失いたくないのですが。

企業の研究開発モデルや英国のR&D企業への支払い方法によっては問題にならない場合があり、一つの利益に対して日英両方のR&D控除を受けられる可能性もあります。

英国のR&Dの優遇制度では税務上の損金が出ると聞きました。恩恵を受けることができるのは、この損金を相殺できるほかの利益がある場合だけなのでしょうか。

従来の優遇措置は、R&Dの出費の100%を超える課税控除が認められるもので、控除の割合は大手企業では130%、中小企業では225%です。条件を満たせば、日本の企業グループは英国法人のR&D機能に対して「コスト・プラス方式」により、例えばコストに10%をプラスした料金を支払います。30%分の追加控除が会計上の利益を上回れば、税務上の損金が生じます。この場合、ご指摘のように同じ会計期間中のほかの利益や将来的な利益で相殺する場合にだけ恩恵があります。

ただ最近、別の方法として「アバブ・ザ・ライン(ATL: above the line)」という税額控除が導入されました。ATLでは増えた利益への課税後に同額の税額控除を適用します。課税後の実質控除率は7.7%。従来の制度と新しい制度は2016年3月までは併用され、その後はATLだけとなります。このほかR&D関連の設備投資に対しては、100%のキャピタル・アローワンス(税務上の減価償却)も適用できます。

パテント・ボックスにおいては、法人税の税率は21%ではなく10%になると聞きました。

利益率が10%を超える利益の優遇や数々の調整など計算は非常に複雑です。実際の税率は10~20%の間となります。

英国の制度は、オランダのイノベーション・ボックスの税率5%、あるいはルクセンブルクの適用除外優遇措置などといった他国の同様の制度と比べて税率が高いです。ただし、幅広い種類の利益が対象になる上、製品などに組み込まれた特許にも適用されます。これは、特にIPが日本で開発されて英国にライセンスを供与する場合には、日本のタックス・ヘイブン対策税制による課税リスクの回避に役立ちます。

こうした優遇措置を利用している日本企業は多いのですか。

R&D税額控除を利用している企業は多く、パテント・ボックスを検討している企業もかなりあります。両方の措置を効果的に利用して実効税率を10%未満に抑えるには、法的な面や技術面、資金調達の面、実際的な面及び移転価格についても一緒に検討することが重要です。

ジョー・ストッブス ジョー・ストッブス
パートナー
税務パートナー。会社設立、資金調達、事業・組織再編における複雑な課題に対して、法人税・源泉税の観点から英国に進出する日系企業をサポート。ビジネス・レベルでの日本語対応可。


 

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