instagram Facebook ツイッター
ロンドンのゲストハウス
Sat, 24 August 2019

本当に使える会計

経営において会計は身を守る防具だけでなく、勝ち抜くための武器にもなります。英国日系企業の経営者が知っておきたい会計トピックを、会計のプロが分かりやすく解説。

第49回: 一般租税回避防止規則(GAAR)

最近のテレビや新聞で、「一般租税回避防止規則(GAAR: General Anti-Avoidance Rule)」という言葉を目や耳にします。これは一体何ですか。

2013年7月17日から適用されているGAARは、英国の税法における長年の取り組みとは大きく一線を画す規則です。これまで英議会は、個別の法規を導入することで、納税者が法の抜け穴を利用して納税を回避することを防ごうとしてきました。しかし過去10年の対応を経て、歳入関税庁(HMRC)はこの取り組みは費用がかさむ上に時間のかかる「いたちごっこ」であると考えるようになり、代わりに租税の取り決めを全体的な観点から見た上で適用するGAARの導入を提案したのです。

ただ規則に関する諮問を経た結果、GAARの対象範囲はかなり限定的なものとなりました。今では「租税回避」というよりも、不正と見なされる租税の取り決めに重点が置かれています。

この規則はあらゆる租税が対象となるのですか。

所得税、法人税、キャピタル・ゲイン税、相続税、印紙税、年次居住用不動産税、石油収入税に適用されます。

かなり広範囲ですね。規則はどのように機能するのですか。

この法規の重要な要素は「二重妥当性テスト」と呼ばれる規定です。以下の2つのテストと照らし合わせた上で、租税の取り決めが不正と見なされるかどうかを確かめます。

1.あらゆる状況を考慮して、当局がその取り決めに妥当性はないと見なす。
2.当局の見解と異なる見解を持つことには妥当性がない。

2番目のテストにより、HMRCがGAARの適用を立証するための条件はかなり高く引き上げられました。その狙いは、きちんとした税務計画には悪影響を与えることなく、極めて不自然で不正なもののみを対象とすることにあります。

GAARに関して、ほかに何か議論となっている点はありますか。

先に述べた通り、新しい法規は個人的な要素や一部のみではなく、租税の取り決めを全体的な観点から見た上で適用すると示唆されています。つまり個人的な要素により課税優遇がもたらされるという点は無視すべきであるということです。ただHMRCは既に個別の要素に重点を置くことができるとの考えを表明しています。恐らく裁判所も個別の要素を含めて最終的に判断を下すでしょう。

またGAARの対象ではないというだけで、HMRCが別の手段では対応しないというわけではありません。HMRCは引き続き既存の租税回避防止策を使うとともに、場合によってはGAARを用いて租税回避の防止に取り組むことになります。

納税者はどのような影響を受けるのでしょうか。

HMRCは、税法に対して明らかな不正があった場合のみGAARを発動すると述べているため、大半の人にはその影響はほとんどないか全くないでしょう。英国における税務専門家の見方も、不正が非常に明白な場合を除けばGAARは適用されないというものです。

そうは言っても、裁判所がGAARの明確な対象範囲について判断を下すまでには何年もかかる上、対象範囲は最終的に当初の予想よりも広がる可能性がある点に常に注意すべきです。このため英国で取引を行う企業は、租税の影響や費用を判断する際にはGAARの影響が出る可能性を必ず考慮に入れる必要があります。

ニック・ニコラウ ニック・ニコラウ
パートナー
税務パートナー。国境を越えて展開する日系企業や駐在員への税金アドバイスなど、国際税務を専門とする。税金はコントロール可能な経費、というのが持論。初孫と遊ぶのが週末の楽しみ。

 

パートナー陣

  • 会計パートナー陣スティーブン
  • 会計パートナー陣ポール
  • 会計パートナー陣ニック
  • 会計パートナー陣ジョン
  • 会計パートナー陣イアン
  • 会計パートナー陣シャロン
  • 会計パートナー陣祐介

当記事はあくまでも一般的な情報を提供する目的で作成されており、専門的なアドバイスを目的としたものではない為、これを受けての対応は独自の責任の下で行ってください。
正式なアドバイスは、全体的且つ詳細状況を把握した上にのみに提供される必要があります。また、ここに記載の情報は、執筆当時において最も正確なものとして提供を行っています。
更なる情報やアドバイスをお求めの場合、別途下記までご連絡ください。

グリーンバック・アラン LLP
「日系に強い会計事務所」として長年にわたり多くの日系クライアントに、会計、監査、税務、各種アドバイスから経理業務まで幅広いサービスを提供。迅速かつ的確な対応をお約束いたします。日系部署が、窓口から実務まで日本語にてサポート。

グリーンバック・アラン LLPGreenback Alan LLP
11 Raven Wharf, Lafone Street
London SE1 2LR
Tel: 020-7403-5959
Email: jonf@gballp.com(日本語)
Website: www.gballp.com
  • Facebook

キャリアコネクションズ ゲンダイ・ゲストハウス
バナー バナー

英国・ドイツニュースダイジェスト主催 フォトコンテスト 2019 ロンドン・レストランガイド ブログ