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ロンドンのゲストハウス
Sat, 24 August 2019

本当に使える会計

経営において会計は身を守る防具だけでなく、勝ち抜くための武器にもなります。英国日系企業の経営者が知っておきたい会計トピックを、会計のプロが分かりやすく解説。

第41回: 欧州内の商品流通に関するVATと関税の影響

英国の子会社(UK Ltd)からドイツの事業者(DE Ltd)に製品をリースしようと考えています。製品は日本の親会社(JP Ltd)が供給する予定です。この場合にUK LtdはDE Ltdに対して英国のVATを請求する必要はありますか。

DE LtdがVATの登録をしているのであれば、UK LtdはDE Ltdに対してVATを請求する必要はありません。ただDE LtdはUK LtdにドイツのVAT登録番号を提示しなければなりません。

またUK Ltdは歳入関税庁(HMRC)に「EC販売リスト」を四半期ごとに提出する必要が出てきます。さらにDE Ltdにリースする前に製品を日本から英国に輸入する場合は、UK Ltdには輸入VATが課されることにも留意しましょう。このため、輸入VATの還付を受けられるように事前にEORI(Economic Operator Registration Identification、事業者登録識別)番号を取得する必要があります。

実は製品は日本からオランダにまず輸送され、そこからDE Ltdに送り、ドイツにてEUの通関手続きを行います。その場合にはVATの扱いはどうなりますか。

複雑な形態ですね。ドイツで通関手続きを行うのであれば、オランダでの輸入関税やVATの支払いを避けるため、適切な関連書類を用意する必要があります。リースの相手が複数いる場合、UK Ltdが輸入VATを還付してもらうには、ドイツでVAT登録をしなければなりません。この措置によってUK Ltdはドイツで取引を行うと認められることになるため、リースの相手先にはドイツのVATを請求する必要があります。

しかしリースの相手が1社だけの場合ならば、DE Ltdが自社の名前で製品を輸入することで輸入VATの還付を受けることもできます。この場合でも、製品の所有権はUK Ltdが持ったままです。UK Ltdは、DE LtdがドイツのVAT登録をしているという条件の下で、VATを上乗せしないで請求書を発行できます。

JP Ltd が、関連会社ではない別のドイツ企業(O Ltd)がO Ltdの名前で製品を輸入するよう手配し、製品をO LtdからDE Ltdに送ってしまいました。O Ltdは、支払った輸入VATの還付を請求できますか。

残念ですが、O LtdはVATの還付を受けられません。O Ltdは製品の所有者ではなく、何よりもDE Ltdに製品を供給していないためです。製品を輸出したのはJP Ltdなので、JP LtdにドイツでVAT登録をする責任が出てきます。さらにUK LtdにもドイツでVATの登録をする責任があります。状況を是正するには、O LtdがUK Ltdのための輸入代理店となり、その旨をドイツ当局に通知することが必要です。ただDE Ltdへの製品のリースにおいては、UK LtdはドイツのVATを請求しなければなりません。

どのような状況であってもUK LtdはドイツでVAT登録する必要があるということなのでしょうか。

いいえ。製品がドイツに送られる前に英国にまず輸入されるという場合には、UK LtdがドイツでVAT登録をする必要はありません。

リースが終わった段階でドイツでの製品の売却を考えていますが、VATはどうなりますか。

UK LtdがドイツでVATの登録をしていれば、売却時にドイツのVATを請求します。UK Ltdが登録していなければ、売却する際に登録すべきです。

ポール・ブラッドリー ポール・ブラッドリー
パートナー
VATパートナー。関税で17年の経験を積み、通算20年以上この分野の専門業務に携わる。グローバル企業の頭を悩ます複雑なVAT問題を鮮やかに解決。F1観戦が趣味で、マクラーレンのファン。

 

 

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