三浦文彰さんのリサイタルに行ってきました

6月17日(土)、ヴィグモア・ホールで開催された三浦文彰さんのヴァイオリン・リサイタルに行ってきました。前回の辻井伸行さんに続き、エイベックス・リサイタル・シリーズの第2弾です。

ヴィグモア・ホールへは今回初めて行ったのですが、印象に残ったのが装飾の美しさ。上品に施された大理石や淡い色の壁紙が伝統と格式を思わせ、舞台頭上のドームに描かれた音楽神のアートには目を奪われます。そうこうしているうちに開演時間がやってきました。いつの間にか満席となっていた客席では、皆静かにお二人を待っています。

avex recital

いよいよ三浦文彰さんとピアニストのイタマール・ゴランさんが登場! 三浦さんはとても若くフレッシュな感じですが、それでいて落ち着きもあり自信溢れる佇まい。イタマール・ゴランさんは、名だたるソリストたちから厚い信頼を置かれている第一線で活躍中の室内楽奏者だそうです。

ドヴォルザーク「ロマンス ヘ短調 Op.11」からのスタート。やわらかなピアノ伴奏に、ヴァイオリンの優しく哀愁のある音が調和します。なんとのびのびとした素敵な高音を奏でるのでしょうか。抽象的なテンポと音色を出すのがものすごく難しそうな曲だなぁと思いながら、優雅に弾きこなすプロたちの演奏に聴き入っていました。そして2曲めは、ストラヴィンスキー「ディヴェルティメント」。こちらは雪の精がテーマとあって冬を匂わせる寂しげなスタートでしたが、途中で緊迫感のある音に変わり、テンポも急に速くなりました。そこは三浦さんの腕の見せ所といった感じで、高低差のある音を重音&高速で、弦をはじく技法(ピッツィカート)も用いて華麗な演奏を披露。3曲めはベートーヴェン「ヴァイオリン・ソナタ第10番 ト長調」。ヴァイオリンとピアノの軽やかな掛け合いに引き込まれます。終始明るくチャーミングなこの曲を聴いていると、なぜか幸せな気持ちになりました。クラシック音楽にはほとんど歌詞がないので、作曲家がどういう気持ちで曲を作ったのか、何を伝えたいのか等、自分なりに想像して物語を広げられるところが好きです。

アンコールでは、ゴランさんからのメッセージが。「ロンドンで立て続けに起こっている悲劇に、追悼の意を捧げます。国籍や宗教などが違っても、問題ではない。とても重要なことです。」と。様々な境界を越えて繋がっていく音楽を伝える方からの言葉が、心に響きました。

そうして演奏されたエルネスト・ブロッホの「バール・シェム Nigun (即興)」と、マリア・テレジア・フォン・パラディスの「シチリアーナ」は聴衆を感動に包み、最後には盛大な拍手と「ブラボー!」の歓声がお二人に送られました。 こうして三浦さんのイギリスリサイタルデビューは、大成功の内に幕を閉じたのでした。三浦さんとゴランさんの素敵なペア、またいつか拝見できますように。

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エイベックス・リサイタル・シリーズの締めくくりは、第3弾となる「世界のDaishin」ことヴァイオリニストの樫本大進さんです。ロンドンで生まれ、アメリカで育った国際派。2010年からベルリン・フィルのコンサートマスターを務める樫本さんの圧巻の音楽を是非味わってみてください。

樫本大進 ヴァイオリン・リサイタル:2017年7月22日(土)
詳細はこちらからどうぞ。お楽しみに!(紅)

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